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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日蘭草の根交流その④

昨日のことです。
今年もまたまた、オランダからたくさんの来客がありました。
リーン・コンサルタンシー・グループが主催する、
「日本スタディツアー」の一行です。主催者を含めて10人です。
トヨタの経営について、質疑応答を含め、2時間半にわたって講義しました。

01
※事務所にて、講義を聞くツアー参加者。

 
彼らは、コンサルタントや、金融関係者が多いですが、看護師のチーム・マネージャーの人もいましたね。
日本への滞在中、トヨタのセミナーを受けたり、
日本の教育について、識者から講義を受けたり、
自動車工場見学をしたり、ヤマハのピアノ工場を見学するなど、
みっちりとスケジュールを組んでいるようでした。

私は、今回は、トヨタが取り組むTNGA
(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を中心に、
トヨタのマネジメントについて話をしました。
みなさん大変勉強熱心で、鋭い質問が次々と出てきました。

例えば、ラインの自動化や効率化による雇用の問題をどう考えるか。
それから、TNGAによって、大きく設計思想が変わることによって、
求められる人材は変化すると考えられる。
そのことに、トヨタはどんな対策をとろうとしているのか。
ロボット化、自働化が進むなかで、
職人たちのモチベーションや満足度は維持できるのか、等々。

私は、トヨタの「人間性尊重」という思想について説明し、
トヨタは、日本企業のなかでも、もっとも雇用を重視する企業だと話しました。
TNGAによって、ただちに、雇用が失われたり、
求められる人材がガラリと変わるわけではないと思いますが、
長期的な視点で、方向性を示し、社員を啓蒙していく必要があるでしょうね。

彼らの質問からは、非常に強い問題意識が感じられました。
いつものことながら、彼らの真面目さ、貪欲さに、
こちらの背筋が伸びる思いでした。

02
※日本スタディツアー参加者と

彼らの本業である、コンサルティングや金融業においては、
オランダは、日本と同等かそれ以上に、発達していると思います。
それでも彼らは、日本が強みをもつ製造業について学び、
それを、本業にいかそうと考えて、
必死に、異分野のことを学んでいるのです。

「失われた20年」の間、内向きに終始してきた日本企業は、
外に目を向け、貪欲に情報を得ようとする彼らの姿勢に、

学ばなくてはならないと思います。

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