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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

植物工場は野菜高騰の救世主

野菜の高値が続いています。
台風と長雨の影響のためですよね。

東京都中央卸売市場では、福島県などが産地のキュウリが
8月18日時点で1キログラム538円と
平年の2倍以上の値をつけました。
ナスやキャベツ、白菜なども軒並み、高値となりました。

なぜ、野菜の価格は天候に左右されるのか。
卸売市場で、「せり」のほか、「入札」、「相対」によって、
価格を決めているからです。
天候不順で入荷が少なく、買い手が多ければ、
高い価格がついてしまうわけですね。

野菜高騰のなかで、にわかに注目を集めているのが、
植物工場です。
このブログでも、何度か取り上げている村上農園は、
全国に7か所の植物工場をもち、豆苗、かいわれ、
スプラウトなどを生産販売しています。
「豆苗の出荷量は、お盆をはさんだ前週と後週で、
1.7倍に増えました」と、村上農園の担当者はいっています。
賢い消費者は、価格の高い露地もの野菜を避けて、
植物工場でつくられる野菜に流れたと見ていいでしょう。

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※村上農園の植物工場内の豆苗

植物工場でつくられた野菜が、なぜ安定価格なのかといえば、
施設内の温度、光、炭酸ガス、養液などの環境条件を

自動制御装置で最適な状態に保ち、
作物の播種、移植、収穫、出荷調整までを一貫して行うためです。
天候に左右されることなく、作物を安定的に供給できるわけですよ。
昨今、トマトやパプリカ、レタスなどは、植物工場製が増えています。

一般消費者はもとより、植物工場の恩恵を享受しているのは、
外食産業です。
飲食店の主要コストは、食材、人件費、水道光熱費、家賃ですが、
食材、なかでも野菜は他の食材と比べても価格変動が大きい。
天候不順のたびに、悲鳴をあげるわけにはいきません。
その点、植物工場製の野菜であれば、
価格の安定のほか、品質の安定も得られます。
もっといえば、外食産業の注文に応じて、
植物工場を稼働することもできるんですね。
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※村上農園の山梨北杜生産センター

モノの価格が大きく変動するのは、
つくる側にも買う側にも、望ましいことではありません。
工場でつくる野菜は、つくる側、買う側の両方に
恩恵をもたらすといっていいのではないでしょうか。
異常気象が日常化する今日、植物工場の存在感がますます
増していくのは確実です。

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