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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

サムスン電子の強気投資のウラは?

報道されているように、韓国のサムスン電子は6日、
15兆6000億ウォン(約1兆6000億円)を投じて、
半導体の新工場を建設すると発表しました。

サムスン電子によると、2014年7~9月期の連結営業利益の速報値は
4.1兆ウォン(約4100億円)です。
過去最高だった前年同期に比べて60%減です。
減益の最大の要因は、やはり中核のスマホ事業の不振です。

サムスン電子が現在、利益の約7割を稼ぐスマートフォン事業の不振に
苦しんでいることは、よく知られるところですね。
小米科技(シャオミ)など、中国のスマホメーカーが攻勢を仕掛けているからですよね。
また、値引きによる販売単価の下落や販促費用の増加で採算が悪化しています。

業績が振るわないにもかかわらず、なぜ、サムスンは
半導体工場への巨額投資を打ち出したのか。
果たして、サムスンお得意の「逆張り」投資は大丈夫なのかどうか。

半導体は、ハイリスク・ハイリターンのビジネスです。
サムスンが、逆境こそチャンスとばかりに大胆不敵な投資を続け、
世界一の座を手にしてきたのは有名です。
今回もまた、「逆張り」投資で、飛躍的な成長を狙っているのでしょうか。

じつは、東芝は、この9月、米サンディスクと共同で
三重県四日市市に次世代半導体メモリの新工場建設を発表しました。
背景には、データセンタや大型サーバー向けの需要増があります。
サムスンもまた、半導体の新たな巨大市場が立ち上がると、
見ているに違いありません。

それにしても、大胆な投資といわなければなりません。
とくに、注目したいのは、会長の李健熙氏が不在のなかで、
大胆不敵な意思決定が行われたことですよね。
李健熙氏は5月10日、病に倒れてから、入院生活を余儀なくされています。
会長不在が長期化するなかで、三代目の李在鎔氏への事業継承など、
サムスン帝国を揺るがす問題は山積しているといえます。

スマホ不振により、大きな岐路に立つサムスンですが、
李健熙会長が不在のなかで、巨額投資の手を緩めることはないのを
どう見ればいいのか。

私は、すでにサムスンは“集団経営体制”に移っていると思います。
いってみれば、着々と2代目から3代目へのバトンタッチを進めている
というか、進んでいるというか。
世襲の歯車は、動きだしているといっていいでしょう。

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