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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ホンダ「リコール」の代償

ホンダは今日、2015年3月期の連結純利益が前回公表の6000億円から
5650億円になる見通しと発表しました。
売上高も従来予想から500億円下方修正し、12兆7500億円を見込んでいます。

「日本、中国、南米における厳しい事業環境があります」
決算発表の席上、副社長の岩村哲夫さんは、このように修正の理由を語りました。
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このうち、国内の販売計画は、103万台から93万台に下方修正されました。
その背景に、5回のリコールがあるのは間違いありませんね。
「仕込んでいるニューモデルを総点検した結果、すべてゴーにはなりましたが、
品質の総点検によってニューモデルの立ち上がりの遅れが発生しました。
それによって、販売機会がずれてしまったこととニューモデルでの来店動員が
できなくなってしまった」
と、岩村さんは語りました。

実際のところ、ホンダは11月10日、満を持して新型高級車「レジェンド」を
発表しますが、それが今期初のモデルになります。
「年内3モデルを投入し、年度としては2~3モデルを投入、
ほぼ計画を実現できると見ています」
と、岩村さんは説明しました。
ホンダは当初、2014年度中に新型モデル6車種を投入すると発表していました。
果たして実現にこぎつけられるか、注視する必要がありますね。

このほか、国内の販売台数を下方修正した理由として、
「消費増税の反動が予想以上に長引いている」
と、岩村さんは語っています。
消費税増税による国内消費の低迷のダメージは、ホンダにとって
考える以上に大きかったようです。
「ニューモデルの遅れを軽で挽回しようとしましたが、軽市場が激戦化していて、
嵐の中での挽回はむずかしかった」
と、岩村さんは述べています。

振り返れば、ホンダは2011年、東日本大震災とタイの洪水の影響により、
全世界での生産停止を余儀なくされるとともに、円高や電力不足にも苦しみました。
その苦境をようやく脱して、従来予想では、通期の最高益を見込んでいました。
いよいよ攻めの体制に入ろうという矢先に、業績の下方修正を余儀なくされたわけですよ。

まあ、岩村さんのコメントにあるように、いろんな外部要因が重なって
足元がぐらついたのは確かでしょう。
しかし、私は、一番大きいのは、5回のリコールだと思います。
それがホンダの勢いを削いだことは、まぎれもない事実だと思います。

「国内販売は93万台と下方修正はしましたが、過去最高の販売台数に向けて
チャンレジしていきたいと考えています」
岩村さんは記者会見の最後に、こう述べました。
果たして、過去最高の国内販売103万台は達成できるのか。
リコールによる影響をいかに巻き返すかがカギになります。
それには、なぜ、5回ものリコールになったのか。
その背景には、何があったのか。
例えば、開発要員が足りないのではないか……など、
厳しい分析が必要だろうと思います。

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