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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタ、上方修正のウラのウラ

トヨタの快進撃が止まらない。
このまま急激な円安が続くと、今期のトヨタの営業利益は、
それこそ限りなく3兆円に近付くのではないか。
しかし、それは、必ずしも社長の豊田章男さんの望むところではないはずだ。
どういうことか。

トヨタ自動車は今日、2015年3月期の連結営業利益が
前期比9%増の2兆5000億円、
連結純利益が前期比10%増の2兆円と、従来予想からそれぞれ上方修正しました。
連結純利益は、2年連続で過去最高益を更新する見通しです。
また、純利益見通しが2兆円の大台に乗るのも、今回が初めてです。

上方修正の理由について、東京本社で記者会見した副社長の小平信因さんは、
「為替が円安に進んだことは大きい」としたうえで、次のように説明しました。
「研究開発費や減価償却費など、固定費は増加し、販売台数は減っている。
そうしたマイナスに対応するための原価改善や価格改定など、
販売面の努力などが合わさって上方修正となった」
上方修正のおもな要因が、円安であることは間違いない。
つい2年前に歴史的な円高など、“六重苦”に苦しんだのはどこへやらですよね。
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社長の豊田章男さんは、2014年3月期決算説明会で、
「今年は、意志をもった踊り場だ」といって、
販売台数が1000万台を超えて広がる、
イケイケドンドンのムードを牽制しました。

というのは、販売台数が1000万台を超えるということは、
自動車メーカーとして、まったく“未知の体験”です。
つまり、トヨタといえども、地球的規模で1000万台の販売を
オペレーションしたことも、マネジメントしたこともありません。

当然、仕事のやり方から組織のあり方、さらにグローバル人材の育て方など、
さまざまな分野でマネジメントの方法を変えなければ、
1000万台を販売する地球規模のオペレーションはできません。
マネジメントのイノベーションが求められます。
果たして、トヨタにその備えがあるのか。

ましてや、トヨタに限らず、世界中の自動車メーカーが住宅バブルに乗って、
北米市場で拡大路線をひた走った結果、リーマン・ショックで痛い目にあいましたよね。
トヨタは、リーマン・ショックの翌年の09年3月期、
4610億円の大赤字を出しました。
豊田章男さんは、その大赤字を背負って社長に就任しました。

豊田章男さんは、以後、折に触れて、「持続的成長」を口にし、
業績の極端なアップダウンを避けてきました。
アップダウンは、ステークホルダーに多大な迷惑をかけるからです。

じつは、豊田章男さんが、今年は「意志をもった踊り場」であるとした
発言のウラには、このような背景があるのですが、
しかし、章男さんの意思とは関係なく、販売台数は1000万台を超え、
営業利益は、急激な円安のおかげで、限りなく3兆円に近づこうとしているのが現状です。
手放しで喜んではいられない心境ではないでしょうか。

絶好調の隣には、必ず、落とし穴があります。
かといって、トヨタは日本のトップ企業です。
日本経済を左右する存在ですから、勝手なことばかりはいっていられません。
そこに、いまのトヨタのジレンマがあると思いますね。

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