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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタの燃料電池車「ミライ」のイノベーション

トヨタは18日、燃料電池車(FCV)「ミライ」を12月15日に発売する
と発表しました。
昨日は、ホンダがFCVのコンセプトカーを初披露しましたが、
いよいよ、「究極のエコカー」時代が到来したといえます。

国内では、15年末までに約400台の販売を目指し、
欧米では15年夏頃の発売を計画しています。
価格は、723万6000円(税込)、国からの補助金を含めると、
約520万円で購入できます。
「日本発の商品としての誇りと強い思いを込めて、あえて日本語名の
『ミライ』としました」
と、記者会見したトヨタ副社長の加藤光久さんは語りました。
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特許庁の調べによると、EV、HEV、FCVに関する特許は、
日本勢が7割を占めるという。
日本は、FCVの先頭を走っていることがわかります。

実際、日本には、世界トップの材料メーカー、部品メーカーが揃っています。
その意味で、FCVの開発は、国際競争力の維持、産業育成、雇用創出に
大きな意義をもっています。
指摘するまでもなく、環境技術は日本のモノづくりの源泉です。

トヨタは、FCスタックや高圧水素タンクなどを自社開発しています。
「自社技術だからこそ、ここまでこられた」
と、加藤さんは語っていました。
内製化は、トヨタのモノづくりへのこだわりといえますね。
「改善を繰り返さないと完成度が上がらないため、モーター、インバーターも内製です。
FCVは、革新技術の塊ですから、コスト低減、性能向上という面から
どのように改善すべきかは、自分たちの手でやらないとわかりません。
“現地現物”という風土があるので、生産技術部門も一緒になって開発し、
今回のような価格で提供することができました。
もっと安く、量産できるように頑張っていますが、そのためにも内製を選んでいます」
と、加藤さんは説明しました。

FCVの本格普及に向けては、これからが本番です。
環境技術で世界をリードしてきたホンダは、残念ながら、FCVの発売で
トヨタの先行を許しましたが、トヨタとて、スタートラインに立ったばかりです。
本格普及に向けては、むしろ、これからの10年が正念場です。
「ホンダさんにも、一緒に出していただいて、FCVを盛り上げてほしい」
と、加藤さんは、ホンダにエールを送りました。

FCVは、これからの日本の産業を引っ張っていく、日本の技術の象徴になります。
「『ミライ』は、『プリウス』を超えるイノベーションの幕開けです」
と、加藤さんはいいます。
とどまることなく、前へ前へと進んでほしいものです。
それが、日本の産業界全体の地位向上につながるのは間違いないでしょう。

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