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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

サントリー「プレモル」から“新商品”

サントリービールは、アサヒ、キリンの2強の一角に食い込むべく、
新たなビールを発売します。
ビール党には気になる話ですわね。

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サントリービールは3月17日、
「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム」を発売します。
素材と製法だけでなく、価格と販路にも徹底的にこだわったといいます。
狙いは、どこにあるのか。

食品や日用品の低価格化は、あたり前です。
デフレ状態は依然、続いていますよね。
低価格競争は、消費者にとっては嬉しい反面、
企業にとっては、販売促進費の増加による利益の圧迫をもたらします。
これ以上の価格競争でデフレが続けば、日本経済にもマイナス。
求められるのは、価格によらない魅力ある商品を打ち出し、
消耗戦に陥らないことですわね。

「これは、醸造家の長年の想いが詰まった“夢”のビールです」
と、サントリービール社長の水谷徹さんは、記者会見で説明しました。
“夢”のビールは、希少なダイヤモンド麦芽使用、
仕込み釜で麦芽を一気に煮出す工程を3度繰り返すトリプルデコクション製法、
新開発の「銅製循環型ケトル」による銅炊き仕込みから生まれたと話しました。
深いコク、ほのかな甘み、心地よい香りが特色と力説しました。

加えて、「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム」がこだわったのは、
価格と販路です。
販売チャネルは、コンビニエンスストア、限定飲食店、ギフトの3つです。
305ml瓶をコンビニで税込315円で販売、
10ℓ樽を約200の「調達人店」「高級店」で限定展開、
プレミアムギフトとしてギフト瓶にも力を入れるとしています。

販路を3つに絞ったのは、販売価格の下落を抑え、高級路線維持に
狙いがあるのは間違いないでしょう。
セールなどを通じて販売価格が下がるのを徹底して避けようというわけです。
「丁寧に商品を育てていきたいと考えています」
と、水谷さんは語りました。

2015年のプレミアムビール市場は、
対前年比106%増の約3600万ケースまで拡大すると推定されます。
そのなかで、サントリーが一段と質の高い商品を出したのは、
プレミアムビール市場トップの座を死守するためという見方もできますが、
同時に、質を高めた新機軸商品を打ち出すことで需要を掘り起こし、
販売価格の上昇基調維持を目指していると考えているのは間違いないでしょう。

「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム」は、
「プレモル」ブランドのさらなる強化であるとともに、
価格によらない魅力を打ち出すことにより、
消費者の購買意欲を刺激し、価格の底上げを狙うという意味でも、
大きな挑戦といえますよね。

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