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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日産「軽」自社生産のウラのウラ

やっぱり……というか。これは当然の成り行きでしょうね。
日産の軽自動車の自社生産の話です。

新聞報道によると、日産自動車は、2016年度をメドに軽自動車の自社生産に
乗り出します。当然だとしても、その背景には何があるのでしょうか。

じつは、日産は、以前スズキや三菱自動車から軽をOEM調達していました。
でありながら、12年度には、軽市場で7.7%のシェアを得ていました。

これは、以前にも書いたことですが、OEMですと、なかなか日産らしい味付けの軽は
出せません。OEMの限界がありますよね。

そこで、日産は11年、三菱自動車との合弁共同出資会社「NMKV」を設立し、
軽の企画・開発に乗り出しました。ライバルメーカーと手を握ってでも、
日産は、三菱自動車と共同開発した車を、三菱自動車水島工場に生産を委託し
ました。そして、13年に「デイズ」を発売したんですね。

なぜ、三菱自動車とのコラボレーションに踏み切ったかといえば、
軽の開発生産のノウハウを培っていなかったからですね。現在、「デイズ」
「デイズ ルークス」など合計4車種を売っています。
14年の販売台数は約24万台でした。大ヒットです。

しかし、問題が解決したわけではない。生産を委託している以上、
デザインの大幅な変更などがむずかしい。
マイナーチェンジなど容易にできませんね。自社生産の限界ですよね。自社生産すれば、
必要なタイミングで売りたいデザインの新車を投入できます。自由度が増しますね。

そこで、今回、軽の生産を自社生産することにしたわけですね。まあ、コトの成り行き
として当然だと思います。ただし、日産には、日産と三菱自動車の技術者が
協働して軽を企画・開発する「NMKV」の仕組みを変える意思はないようです。
よほどの何かがない限り、これは、当たり前ですね。
ヒット車を生み出しているわけですからね。それに、「NMKV」で、軽の電気自動車
の開発を、両社で行っている話もありますからね。

軽の人気は、高まる一方です。昨年の軽の販売台数は、
227万台を突破しました。過去最高です。
新車の販売台数は556万台ですので、いまや約4割が軽を占めるわけです。
税金が安くて、低価格で、維持費の安い軽に人気が高まる当然ですね。

それに、12年にホンダがNシリーズで軽の市場に参入して以来、
軽は、走りにしろデザインにしろ、内装にしろ、一気に向上しました。
もはや、今日、軽を抜きには、メーカーは経営が考えられません。

ましてや、現在、日産には小型車のヒットがありません。日産の最大の
弱点といっていいでしょう。だが故に、軽に力を注ぐというわけですね。

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