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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

浜田市の移住支援の“奇策”とは

12日の毎日新聞に、「これこそ地方創生では」として、
島根県浜田市が新しく始める、移住支援が紹介されていました。
シングルペアレントを呼び込もうというのです。
つまり、シングルマザー、シングルファザーに子連れで移住してもらい、
人口減少に、少しでも歯止めをかけようという策です。
私は、拍手を送りたいと思います。

浜田市の人口は、1985年には7万人以上いましたが、
13年には約5万8000人にまで減っています。
「消滅可能性都市」であり、対策は急務です。
しかし、同じような状況の地方自治体は、山ほどあります。
それらの自治体は、移住先として選んでもらうために、
住宅や就労支援、子育て支援などさまざまな支援を行い、
いわば「移住支援合戦」を繰り広げています。

そのなかで、シングルペアレントを対象としたのは、
「見落とされがちだった着眼点」(毎日新聞)であり、
浜田市の“奇策”というか、卓抜したアイデアといっていいでしょうね。
これまで、シングルペアレントに対して、
生活支援など自治体の負担が大きいため、敬遠されてきたのでしょう。

調べると、浜田市長の久保田章市さんは、三和銀行出身で、
三菱UFJリサーチ&コンサルティング、
島根県立大学非常勤講師、法政大学大学院教授を経て、
13年に市長に新任しています。
なるほど、この略歴の持ち主であれば、
この思い切ったアイデアが出てきて不思議はないと思いましたな。

対象者は、高校生以下の子連れ、介護業務に携わることなどが条件です。
移住すれば、対象者は、手に職をつけて仕事を得られ、
浜田市側は、人口が増えるだけでなく、
介護に関わる人材不足を解消できる。一石三鳥ですよね。

支援は手厚く、1年目は、資格取得支援に加え、
給与月額15万円を市が負担し、世帯当たりの養育支援月額3万円、
家賃補助月額2分の1補助(上限2万円)、
中古自動車を本体価格0円で提供、引っ越し等の支度金30万円、
研修終了後の奨励金100万円と、超好待遇です。

3世帯の定住を念頭に置いているといいますが、
すでに、全国から多くの問い合わせがあり、
相当な数の応募が予想されるといわれています。

「地方創生」が叫ばれるなかで、当たり前のことですが、
地方自治体が、自ら主体的に動かなければ、何事も始まりません。
各自治体が知恵を絞り、地方の魅力をつくり出していくことが求められています。
その意味で、浜田市の“奇策”は、その優れた一例になるのではないでしょうか。

ちなみに、私は、もっか、
月刊『潮』に、「新連載 地域資本主義の時代」として、
地方創生をテーマに連載しています。
ご興味のある方は、ぜひご一読ください。

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