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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

パナの植物工場の商機とは

植物工場でつくられた野菜は、さまざまなメリットがあります。洗わずに食べられます。天候に左右されずに安定供給できます。味や栄養素の含有量を操作できます。しかし、残念ながら、国内植物工場の約8割は赤字といわれていて、事業そのものは、必ずしも「バラ色」ではないんですね。

人工光型植物工場の最大の課題は、電気代と人件費がかかりすぎることだといわれてきました。

「運営コストの削減が黒字化のカギと考えます」と、パナソニックAVCネットワーク社アグリ事業推進室の松葉正樹さんは、今日開かれた「技術セミナー」の席上、語りました。
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従来の植物工場で使われていたのは、おもに蛍光灯照明。しかし、蛍光灯は熱を発するため、工場内の温度上昇が避けられず、電気代がかかるほか、栽培棚の上部と下部で温度差が生まれるため、品質にばらつきがみられるなど欠点だらけです。蛍光灯照明で育てた野菜は葉がやわらかく、味が薄いという指摘もあります。

パナソニックは完全LED(発光ダイオード)照明の植物工場をつくりました。それにより、課題を解決するとともに、業界初の「特殊空調技術」で歩留りを大幅に向上させました。

一般的な植物工場の重量歩留りは、60%~70%です。パナソニックは大型工場でも最下段と最上段の栽培環境を同じにする「特殊空調技術」により、重量歩留り95%を実現しています。

また、工場の栽培環境をネットワークで遠隔監視したり、ウエアラブルカメラを使って画像を見ながらリアルタイムに課題をサポートするなど、作業の効率を高めて人件費の従来比半分の削減を提案。今後、「お掃除ロボット」による省力化の計画もあります。

パナソニックはなぜ、植物工場に必要な技術をすべてもっているのに、植物工場をやらないのかと、かねてからいわれてきました。じつは、大手電機メーカーがこぞって植物工場事業に参入するなかで、パナソニックは最後発での参入なんですね。

ただし、いまからでも、商機は十分あるとパナソニックは見ています。パナソニックの狙いはB2Bです。

パナソニックは現在、デジタルカメラを生産していた福島工場を植物工場に改装し、レタスなどの葉物野菜の栽培を行って、市内のスーパー30店舗に卸しています。

もっとも、レタスの販売は最終到達点ではないんですね。

「牛肉のランクには、AからCまであります。野菜にも同様のランクがあれば、Aランクの野菜をつくっていきたい」と、松葉さんは抱負を語りました。

パナソニックは現在、独自の「栽培レシピ」を開発中です。その「栽培レシピ」を食品加工業界に売り込むとともに、工業製品の製造ノウハウを活用したプラントを販売することが、パナソニックの植物工場事業のビジネスモデルです。

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