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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

「機能性表示食品」解禁のインパクト

4月から、「機能性表示食品」の表示制度が始まりました。安倍内閣の成長戦略の目玉です。

健康への効果を表示できる食品は、これまで、いわゆる「トクホ(特定保健用食品)」と、栄養機能食品に限られていましたが、それが大きく緩和したんですね。
機能性表示をすれば、商品の付加価値が高まります。販売促進効果が期待できるというわけです。

新しい表示制度は、企業が自社で行った調査などを含め、科学的根拠を消費者庁に届け出れば、表示が可能です。
トクホなどに比べてハードルが低く、中小企業でも申請しやすいことに加え、農水産品でも申請できます。4月以降、すでに150件以上の届け出があるといいます。

ただし、農水産品の申請には、課題もあります。例えば、通常、野菜は、産地や栽培時期などによって栄養価が変化するので、一律に栄養価を表示することは難しいのです。
この問題をクリアする方法の一つが、「植物工場」です。植物工場で生産された野菜は、温度、湿度、光などを徹底して管理され、安定した環境で生産されるので、一年を通して成分が安定して含まれるのです。

私は、昨年、「植物工場」を経営する村上農園をテーマに『年商50億を稼ぐ村上農園の「脳業」革命』を上梓しました。
村上農園は、ブロッコリーの新芽の「ブロッコリースーパースプラウト」などを、「スルフォラファン」と呼ばれる有用成分を含む「機能性野菜」として生産、販売しています。年内には、これらの商品を、新制度に届け出るといいます。
広報マーケティング室主任の篠田友里さんは、かつて取材した際、「機能性の表示を見て、お客様が、この野菜には体にいい成分がちょっと高めに入っているんだなと認識して、選んでいただければいい」と話していました。
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※村上農園の「植物工場」、大井川生産センター

高齢化や人々の健康志向の高まりを受けて、トクホや栄養機能食品に加え、機能性表示食品にも、人々の注目が集まるのは間違いありません。
一方で、機能性表示食品の「機能」とは、本当に信用できるのか、食べれば病気が治るなど、消費者の誤解を生まないかといったネガティブな意見も、当然あります。

村上農園は、機能性野菜の成分を証明するため、第三者機関による認証と同時に、自社で定期的な測定を行い、「機能性」を保障しています。
「機能性表示食品」の普及は、企業が消費者の信用を獲得できるかどうかにかかっていると思います。

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