Loading...

経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ホンダの「英語公式言語化」の意味

2010年、楽天やファーストリテイリングが「英語公用語化」を掲げ、その是非が議論されたことがありました。同年7月20日、当時ホンダ社長だった伊藤孝紳さんは、記者会見の席上、次のように喝破しました。
「日本人が集まる日本で英語を公用語として使う、そんなバカな話はない」
いかにも伊東さんらしい、歯切れのいい発言ですわな。

それから5年を経て、ホンダが、英語を公式言語化するといいます。6月29日に発表されたホンダのサステナビリティレポートによれば、
「地域拠点が自律しながらHondaグループとしての総合力を発揮していくためには、世界6極の人材が緊密なコミュニケーションを図る環境づくりが必要」であり、そのために、「2020年を目標に地域間のコミュニケーションを行う場合は情報発信側が英語で問いかけるなど、地域間の会議で使う文書や情報共有のためのやりとりを英語とする『英語公式言語化』に取り組んでいます」とあります。

まあ、伊東さんの発言が否定されたわけではありません。伊東さんは、同じ会見で、こうも話していましたからね。
「グローバルにビジネスを展開しているなかで、英語の方がいいビジネスシーンや社内の仕事のやりとりは、当然、英語です。時と場合によって使いわければいい」

実際、関係者に聞くと、現在の仕事の内容が大きく変わるということはない。ただ、世界の地域間の公文書などが英語になるという話だといいます。

もともと、ホンダという企業は、英語ができない社員を海外出張にいかせたり、そのうえ英語のプレゼンをさせたり、平気でする企業です。
一例をあげれば、ホンダジェットのエンジンに関わるエンジニアは、英語ができようができまいが、GE(ゼネラル・エレクトリック)との英語の電話会議、テレビ会議にバンバン参加させられていると話していました。

なぜ、いま、英語の公式言語化なのか。
ホンダは世界6極体制のグローバル戦略を展開しています。そして、四輪車の世界生産台数でいえば、8割以上が海外です。これを効率よくオペレーションするには、統一した言語が必要であり、日本語に統一するわけにいきませんから、やっぱり英語になる。いわば、必然の流れです。

だからといって、断っておきますが、国内のホンダ内部で英語が飛び交うということではありません。グローバルビジネスを担当する部門では、確かに地域間のやり取りは英語が公式語になりますが、国内ビジネスに関しては、従来通り日本語なんですね。

問われているのは、要は何語を使うかではなく、いかに効率よく仕事をするかということですね。

ページトップへ