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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

東芝田中社長の責任は?

東芝の不適切会計問題で、当時社長だった、現副会長の佐々木則夫氏は辞任の意向です。
そうなると、次は、現社長の田中久雄氏の経営責任が焦点になりますね。

田中氏は、2013年6月に社長に就任しました。東芝史上初の調達部門出身社長です。
このときの人事は、“異例”のトップ人事と騒がれました。

経緯を簡単に振り返ってみましょう。
05年に社長に就任した西田厚聰氏は、リーマン・ショック後、巨額赤字の責任をとる形で、09年に後任に佐々木氏を指名して会長に退きました。報道されているように、西田氏と佐々木氏は、その後、対立を深めます。じつは、今回の不適切会計の“根っこ”があるんですね。

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※2013年2月の社長交代記者会見。左から西田氏、田中氏、佐々木氏。

西田氏は、佐々木氏への不満を公然と口にするようになり、13年に、佐々木氏の後任として、以前から目をかけていた田中氏を社長に引き上げました。
西田氏は会長に留まる一方、佐々木氏は、東芝上場以来初の「副会長」ポストに就き、三人のトップが立つ「トロイカ」体制になりました。まさに“異例”でしたよね。

田中氏の責任を含め、すべては、第三者委員会の報告次第です。
不正に積み増された利益の額、悪質性、会社ぐるみの組織的な不正があったかなどが問題になります。田中氏は、09年に専務、11年に取締役、代表執行役副社長に就任しており、調達を担当しています。果たして田中氏は、どこまで実態を把握していたのか……。
さらに、社長就任以降も不適切会計は続けられていたわけですから、責任重大とする向きがあるのは、当然です。

一方、佐々木氏と田中氏が引責辞任となれば、いったい、この先の東芝は、誰がかじ取りするのでしょうか。社内では、混乱を避けるために田中氏続投の声があるといいます……。人材不足ということでしょう。
それから、報道されているように、取締役の半分を社外取締役にしても、株主も世間も多分、納得しないでしょう。

本当は、この際、社外取締役どころか、過去に土光敏夫氏を石川島播磨重工業から招いて再建を託したように、外から社長を迎えて、再出発すべきではないでしょうか。東芝には、いま、どれだけの危機感があるかが問われていると思います。

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