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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日産は三強入りなるか

昨日、日産は2016年3月期第1四半期の決算発表を行いました。

売上高は前年同期比16.6増の2兆8994億円、営業利益は58%増の1937億円と、好調です。「“日産パワー88”の目標に向け、順調に進んでいることを物語っています」と、席上、常務執行役員の田川丈二さんは語りました。

P7293704           ※日産常務執行役員の田川丈二氏

“日産パワー88”とは、日産が11年に掲げた、17年3月期までに市場占有率8%、営業利益率8%を目指すという目標です。
今四半期の市場占有率は5.9%、営業利益率は7%です。いま一歩のところまでこぎつけました。
日産の営業利益率改善の理由の一つが、ルノーと日産のアライアンス効果です。両社は99年から資本提携していますが、さらなる提携効果を期待して、14年4月、研究・開発、生産技術・物流、購買、人事の重点4機能について、「一体運営」に乗り出しました。
狙いは当たったといっていい。14年度のアライアンスのシナジー効果は、過去最大の38億ユーロにのぼったと成果を強調しました。

また、ルノー・日産アライアンスは、CMF(コモン・モジュール・ファミリー)と呼ばれるモジュール戦略をとり、両社の車の部品の共用化、標準化によるコスト削減や競争力強化を進めています。
CMFの適用機種である「キャシュカイ」「ローグ」「エクストレイル」は、販売が好調ですが、これも、利益率向上に寄与しているのは間違いありませんね。

 

しかし、“日産パワー88”の期限は、来年に迫っています。いいところまできたとはいえ、営業利益率の達成には、あと1%の上乗せが必要です。
田川氏は、「まだまだポテンシャルの残っている地域やモデルがあると考えています。トータルコストを抑える、売上高を増やすなど、会社の総合力で1%の上乗せを狙います」と語りました。

 

世界の自動車市場は、すでに年間販売台数1000万台を達成したトヨタ対VWのトップ争いが激烈です。2社を僅差追っているのがGM(ゼネラル・モーターズ)です。つまり、三強ですね。第二集団が、ルノー・日産、現代、フォードという構図です。
第二集団を抜け出すと同時に、GMのシッポを掴み、トップ集団入りを果たしたいというのが、ルノーと日産のCEOを兼務するカルロス・ゴーンさんの悲願です“日産パワー88”は、そのための必須条件ではないでしょうか。
まあ、ルノー・日産は、ほんの少し第二集団から抜け出したといったところでしょうかね。三強の一角に食い込むには、あと一頑張りです。

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