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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

東芝は危機感とスピード感を持て!

東芝は14日、不適切会計問題で公表が遅れていた、2015年4~6月期の連結決算を発表しました。営業損益は109億円の赤字。4~6月期の営業赤字は3年ぶりです。

記者会見の席上、東芝社長の室町正志さんは、会計問題の営業面での影響について、「現在、顕在化しているものはない」と否定しましたが、果たしてどうでしょうか。
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赤字は、テレビやパソコン、冷蔵庫など白物家電を扱うライフスタイル部門、電力・社会インフラ部門といった主力事業の不振が原因です。

「中国やインドネシアなど、製造拠点の集約が必要だと考えています。また、新製品開発もいままでのように全品種をとりそろえる必要があるのかを含め、競争力のある商品に集中特化して開発効率を改善していきます」と、室伏さんは語りました。

いま、問われているのは、止血です。とにかく思い切った手を打つ必要があります。ズバリ、構造改革です。それには、血を流すのをためらったらダメですね。覚悟してやり切るしかないでしょう。他社はそうしたのですから。

日立製作所は11年、テレビの自社生産から撤退するという思い切った手を打ちました。また、リーマン・ショック後には、思い切って巨額の赤字を計上し、リストラを断行しましたね。

三菱電機は99年にパソコン事業から撤退、03年DRAMをエルピーダに、システムLSIをルネサスに切り離し、08年には携帯端末、洗濯機からも撤退するなど、事業のポートフォリオの組み替えを地道に行ってきましたよね。

東芝はどうか。半導体と原子力発電を経営の二本柱に掲げ、両事業に経営資源を集中する一方、東芝EMI、銀座東芝ビルを売却、光ディスクHD‐DVD事業から撤退しましたが、「選択と集中」は中途半端で終わっている。その間に、「稼ぐ力」は失われていきました。

「構造改革は案件ごとに方向性が決まったら“五月雨式”に発表する予定です。時期のボトムラインは年内を考えていますが、10月末から11月初めの中間決算である程度、開示できると考えています」と、記者会見の席上、社長の室町正志さんは述べました。

ライバルの日立との差については、「比べるのはおこがましい。わが身の再生が第一」と室町さんは語ったうえで、「日立とはポートフォリオがかなり違うので、ベンチマークはしていない」と発言しましたが、果たして本音はどうなんですかね。まあ、ありていにいえば、ライバルのことを考える余裕などないというのが正解でしょう。

「パソコン、家電の国内撤退を含めて是々非々で議論していく」と、室町さんは述べました。「是々非々」の議論どころか、ただちに「どうするか」を決断しなければいけない。東芝は、切羽つまったステージにあるのですから。

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