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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

アルヒ浜田宏氏が目指す「日本一、働きやすい会社」

日本初のモーゲージバンク(証券化を資金調達手段とした住宅ローン貸し出し専門の金融機関)「アルヒ」の会長兼CEO兼COOの浜田宏氏に会う機会がありました。
浜田氏は、デル日本法人社長、HOYA最高執行責任者を歴任するなど、日本には珍しい「プロの経営者」です。
以下は、昨日に続く第2回目の発言録です。

 

「当たり前の話だけど、人はローンを組みたい(借りたい)のではなく、家が欲しいわけですよね。じゃあ、なんで家が欲しいのか。人生を変えたいからですよ」

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※アルヒ会長の浜田宏氏

人生には結婚、出産、子育てなど、さまざまな節目があります。子供が独立して、再び夫婦二人の生活に戻る人もいます。親の介護に遭遇する人もいます。その人の人生の節目に寄り添い大切な「ある日」をサポートすることは、アルヒの重要な役目だといいます。

実際、住宅ローンの【フラット35】を契約した顧客とは、35年という長いつきあいがはじまります。その間、顧客の個人情報を長期間にわたって安定的に持つことができるのは、住宅ローン会社の強みです。
住宅着工件数が頭打ちのなか、住宅ローンの販売だけでは成長できません。アルヒは、家探しサービスのほか、インテリア、メンテナンス、リフォームなど、その人のライフスタイルに合わせた住生活のサポートを提供しようとしています。目指すのは、「住生活プロデュース企業」です。

「とりわけ、日本が遅れているのは、女性の社会進出をサポートする制度です。企業のトップ層は、女性を活用するといいながら、本当に女性のことを考えているといえるか。自分たちが男性優位社会で生きてきたため、働く女性が何を必要としているかがわかっていない」

 

妊娠や出産を機に退職する女性はいまも少なくない。その理由は、「子育てをしながら仕事を続けるのは大変」など、職場環境の未整備です。

アルヒは、「働きやすさナンバー1」を目指して、働き方改革に取り組みます。通常の始業時刻は午前9時ですが、午前10時あるいは11時45分始業の時差勤務を導入、子どもを預けたあと、家で身支度をしてから出勤できるようにしました。

このほか、1年だった育児休業期間を3年に延長、育児短時間勤務の適用を3歳から小学校6年まで延長しました。また、最大2時間削減だった育児短時間勤務を最大4・5時間削減まで対応しました。

「目指しているのは、日本一、働きやすい会社です。例えば、土日だけとか、夜間だけとか、一日3時間だけ勤務する社員がいてもいい。定年だって99歳にしてもいい」

 

70歳でも働ける高齢者は多い。専門性があり、人生経験が豊富なことが大きな特徴です。年金をもらう側だった高齢者が、年金を払う側になることは、日本の財政再建に大きな影響を与えます。

アルヒは、70歳を超えるシニア社員、外国人などを採用する計画です。多様な人材がいてこそ、さまざまな顧客のさまざまな要望に対応できると考えるからです。そうした人たちを活用するために、時短勤務や週末だけの出社など、多様な働き方ができるように人事制度を改革中です。

 

「みんなで助け合いながら、気持ちよく長く働いてほしいというのが、私の願いです。いま、会社は六本木にありますが、六本木に“明るい農村”をつくりたい」

 

現在、従業員約300人の7割が事務職です。おもな仕事は、書類チェックや審査や契約にかかわる業務です。助け合って仕事をしていかなければ、業務が回っていかない。個人プレーではなく、チームワークを大切にしているといいます。

「日本一働きやすい会社」には、優秀な人材が集まります。実際、昨年8月、SBIグループから離脱し、新しい体制としてスタート後、以前は10~15名の募集に対し、数名程度だった応募が、最近では同規模の募集で700名近くが応募する会社となりますた。
社員がいきいきと働いてこそ、顧客に喜ばれるサービスが提供できる。アルヒが目指すのは、女性、外国人、高齢者がそれぞれの特性を活かして働く、“明るい農村”のような会社をつくることなのです。

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