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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

パナは家の電気をスマホで操作

パナソニックは今月21日から「スマートHEMSサービスアプリ」の運用を始めます。その狙いは、どこにあるのでしょうか。

「HEMS」とは、「ホーム エネルギー マネジメント システム」の略で、家庭で使うエネルギーを節約するための管理システムです。家電や電気設備とつないで、電気やガスなどの使用量をモニター画面で「見える化」したり、家電を自動制御したりします。
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パナソニックはこれまでも、「HEMS」の役割を訴求してきましたが、なかなか浸透させることができませんでした。ユーザーが“腹落ち”しなかったのは、なぜか。「HEMS」の役割を伝えるプロセスにユーザー視点が欠けていたからではないでしょうかね。

また、「HEMS」のモニターをのぞいて、電気の使い過ぎを確認し、節電につなげるというやり方が、なかなか日常に取り入れづらいことも、普及の妨げになっていたといえますよね。
では、どうしたら、「HEMS」を生活に取り入れてもらえるか。目を付けたのが、スマートフォンなんですね。

いまやスマホは、国民の2人に一人が保有し、生活に欠かせないものになっています。わざわざ、「HEMS」モニターをのぞくのはちょっと……という人も、つねに身近にあるスマホに電気の使い過ぎが配信されるなら、時間の空いたときに、見てみようかとなるわけです。

もう一つ、重要なのは、商品訴求をユーザーニーズに転換したことです。大切なのは、商品の良さを訴えるのではなく、ユーザーの行動に入り込んで「できること」を伝えることなんですね。

パナソニックは、専用のアプリを通じて、さまざまな生活支援サービスを提供する計画です。例えば、電気の消し忘れ、エアコンのつけっぱなしを外出先から確認して、遠隔でオフすることができる。

「子どもが学校から帰宅して子供部屋の照明スイッチを入れたことを、外出先の親がスマホで確認することができます。子どもが予定時刻に帰宅したことを知ることができるんですね」
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と、パナソニックエコソリューションズ社 新事業推進センター、サービス企画・開発課主幹の岡村晶子さんはいいます。

パナソニックの実証実験アンケートによると、外出先のスキマ時間に「HEMSサービスアプリ」を週に1回以上チェックする人は、90%にのぼった。また、スマホへのプッシュ配信がきっかけで節電意識が高まった人は、85%だそうです。

パナソニック社長の津賀一宏さんは、「お客さまのお困りごとを解決する会社になりたい」といっています。商品開発だけでなく、商品の訴求においても、ユーザー目線で「お困りごと」を解決するという姿勢が大切なんですよね。

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