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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ソニー好決算のウラに“スマホ神話の崩壊”?

ソニーが29日に発表した2015年4~12月期の連結決算は、営業利益が前年比2.3倍の3870億円でした。好決算を叩きだしたのは確かですが、そこには意外な事実があるんですね。

ソニーはこれまで、主力とするテレビやスマホで苦戦してきました。そのため、テレビやスマホなどを「事業変動リスクコントロール領域」と位置づけ、投下資本を抑えつつ、事業リスクの低減と収益改善を目指してきたわけですよ。

これに対して、イメージセンサーをはじめとするデバイス事業は「成長牽引領域」と位置づけ、売上成長と利益拡大を目指しました。

ちなみに、イメージセンサーとは、カメラのレンズに集めた光を電気信号に変えて画像データをつくる機能をもつ半導体です。

とりわけ近年は、スマホの拡大にともなって、イメージセンサーのニーズが急激に高まっていました。デジタルビデオカメラ、医療機器の内視鏡などにも使われ、2014年における金額シェアは世界ナンバーワン、2015年11月時点で累計50億本の出荷を達成しています。

ところが、今回の決算では、様変わりしました。成長が期待されていたデバイス事業が15年10~12月期、営業損益117億円の赤字と苦戦し、逆に、リスク領域とみなされていたテレビやスマホが善戦した。好調だったデバイス事業に一体、何が起きたのでしょうか。

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※ソニー副社長兼CFOの吉田憲一郎さん

「世界のスマホ市場の成長鈍化で、主要顧客向けに11月から急速に出荷が減っています。今年度末まで厳しい状況が続くと見ています」
決算発表の席上、副社長兼CFOの吉田憲一郎さんは述べました。

背景には、「iPhone」の失速があると見ていいでしょう。アップルの2015年10~12月決算によると、「iPhone」の販売台数は前年同期比0.4%増の7477万9000台となり、07年の発売以来、もっとも低い伸び率です。

しかも、アップルは、2015年9月に発売した「6s/6sプラス」の16年1~3月期の生産量を計画より3割程度減らす見通しと報じられています。

当然、「iPhone」の部品メーカーのソニーはもちろん、液晶パネルを供給するジャパンディスプレイやシャープなどが影響を受けるわけですね。

サムスン電子の半導体部門の営業利益が、2015年10~12月期決算において1年半ぶりに直前の四半期を下回り、2兆8000ウォン(約2800億円)となったのも、「iPhone」の生産台数の影響だといえるでしょうね。

先進国や中国市場では、いまやスマホ市場は飽和状態です。部品メーカーに求められるのは、“スマホ頼み”からの脱却です。

「デバイスが中長期的な成長事業であることに変わりはありません。車載向けやIoT分野で今後、引き合いが強まると見ています」
というのは、吉田さんのコメントです。

実際、ソニーは2014年、車載カメラ向けCMOSイメージセンサーの商品化を発表するなど、車載への移行に向けて着々と布石を打っています。

「イメージセンサーは16年4~6月期から回復すると見ており、来期以降も拡販していきたいと考えています」
と、吉田さんはいいます。

“スマホの成長神話”が崩れるなかで、果たして次のテーマである車載やIoTにスムーズに移行できるかどうか。ここ数か月は、ソニーのデバイス事業が再び、勢いを取り戻せるかどうかの正念場といえそうですね。

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