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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日産の好決算のウラ

日産自動車が10日に発表した2015年4~12月期の連結決算は、営業利益が前年同期比40.6%増の5875億円と大きく伸びました。純利益は、33.7%増の4528億円で、この期間として過去最高です。

利益を押し上げた背景には、何があるのでしょうか。米国でガソリン安と低金利が新車市場の追い風となり、SUV「ローグ」などの販売が好調だったことがあげられます。

「好調な米国と西ヨーロッパが、不安定な為替と新興国市場の低迷を補いました」
記者会見の席上、常務執行役員の田川丈二さんは語りました。
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また、アジア地域の販売台数は112万台と2%減でしたが、中国の販売は、セダンやSUVなど、好調を維持しているんですね。

これで、乗用車メーカー8社の2015年4~12月期決算が出そろいました。営業利益はトヨタ、日産など6社で増加したことがわかりました。このうち、トヨタ、スズキ、富士重工業、マツダなどが過去最高です。

繰り返しになりますが、日本メーカーに総じていえるのは、国内やアジアの販売の低迷を北米の販売増で補っていることです。トヨタも北米では販売を伸ばしましたが、インドネシアやタイなどアジアでは販売台数が減少しています。

ということは、日本の自動車メーカーの弱点は、新興国だということがわかりますね。

では、どうすればいいか。新興国市場を攻めるには、小型車戦略がモノをいいます。その点、スズキがシェアトップのインド市場で販売を伸ばし、2015年4~12月期の決算で純利益が前年同期比28%増の1022億円となり、この期間として過去最高を更新したことは、大いに注目すべきですね。

現実に、トヨタは、今年8月1日付でダイハツ工業を全額出資の完全子会社として、小型車分野の開発をダイハツが主体的に担うなど、新興国の小型車戦略を積極的に打ちだしています。加えて、いまのところ、両社は否定していますが、トヨタとスズキが手を組むのではないか、という声さえありますよね。

以前にも触れましたが、日本の自動車メーカーにとって、新興国向けの小型車開発と低コスト生産が課題であることは間違いありません。

新興国の小型車市場でいかに競争力をつけるか。15年は、屋台骨の北米が好調だったとはいえ、気をゆるめることはできません。

ご存じのように、年明け以来、世界的な市場の混乱が続いています。日本の自動車メーカーは円高進行、株安のほか、原油安や中国景気の減速にも目を向けなければいけません。油断大敵ですね。

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