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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

シャープ支援をめぐる虚虚実実

いよいよ大詰めも大詰めです。

シャープは、支援を受け入れる相手を、台湾の鴻海精密工業とするか、産業革新機構とするか。決定の瞬間が迫ってきましたが、水面下ではさまざまな思惑のもとに、いろんな人が動き回り、虚虚実実のやりとりが繰り広げられているようですね。

今日の毎日新聞を見て、驚きましたね。
「シャープ支援は鴻海 取締役会あすにも決定」と、一面に大きく出していました。
本当ならば、大スクープ記事です。

朝刊を見た限りでは、鴻海案決定と報じたのは毎日だけですね。それも、一面のトップ扱いです。これは毎日の大スクープなのか、フライングなのかは、よくわからない。
何しろ、取締役会は明日の予定で、本当の決定はまだしていないんですからね。かなり飛ばした記事であることは間違いありません。実際、シャープは今日、毎日の記事について、再建方針を固めた事実はありません、と公式に否定しました。

記事を読む限り、リークしたのは多分、銀行スジであることは間違いないのではないでしょうか。
<主力行の幹部の一人は22日夜、毎日新聞の取材に対し「もし革新機構の案になれば我々(銀行)は手を引く」と述べた>とあります。
“主力行の幹部”は、ここまで踏み込んだ発言を、本当にしたのでしょうかね。
おそらく、書いてある以上、したんでしょうな。
だとしたら、かりにもこんなことがいえるのは、グループトップしかいませんわね。いったい、どうなっているんでしょうか。

また、記事では、鴻海は<保証金として、すでにシャープに対し、1000億円を預けた>とありますが、シャープは1000億円を預かった事実もないと、毎日の報道を否定しています。

まあ、この記事についての感想をいえば、銀行の思惑が前面に出た記事だなと思いましたよ。
この記事は、銀行の焦りと読むこともできますね。鴻海支援を既成事実化したいために、記者に対してわざと踏み込んだ発言をした……とも読めないことはないですからね。

シャープには、技術も、ブランドもある。それゆえ、シャープ支援をめぐっては、兆がつくほどの巨額のお金が動きます。
シャープ、鴻海、産業革新機構、銀行、経産省、さらに、鴻海やシャープと取引のある韓国サムスンや米アップルなど、さまざまな思惑が渦巻いているハズですよ。

シャープが、鴻海か、産業革新機構か、どちらを選ぶかは、明日議論され、早ければ同日、正式決定されます。
交渉期限は29日。いずれを選ぶかによって、シャープの運命、さらには日本の電機産業の将来は、まったく変わってくるでしょう。大きな賭けといえますね。

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