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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日産ゴーン、現地で復興支援継続宣言

日産社長兼CEOのカルロス・ゴーンさんは5日、福島県いわき市を訪問しました。
水族館「アクアマリンふくしま」と、いわき市観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」に電気自動車「e-NV200」を各一台、寄贈したんですね。

5年前の東日本大震災で、福島県いわき市は甚大な被害を受け、日産のいわき工場もまた、壊滅的ダメージを受けました。
しかも、福島第一原子力発電所の事故、その風評被害が追い打ちをかけました。

当時、いわき工場長だった小沢伸宏さんは、床に亀裂が走り、エンジンがラインから落下した工場内の惨状を見て、「いわき工場はこの際閉鎖し、VQエンジンの生産は、海外に持っていったほうがいいんじゃないか」と思いつめたといいます。

実際、工場の従業員や地域全体には、見通しの立たないことから、「日産はいわき工場を閉鎖するのではないか」という絶望的な空気が流れました。地域から雇用が失われれば、復興は望めませんね。

そんななか、「本社は、いわき工場をフルサポートする」と宣言したのが、ほかでもない、カルロス・ゴーンさんです。
ゴーンさんは、同年3月29日にいわき工場を訪問し、工場の従業員を前に、「この工場は必ず残す。日産はいわきから去らない」と明言しました。
この言葉は、当時、打ちひしがれていたいわき工場の従業員だけでなく、いわき市、福島県、さらには日本全体に、大きな勇気を与えました。

いわき工場がある小名浜臨海工業団地の復興は、当時日産COOだった志賀俊之さんの指揮のもと、日産が旗振り役となってスタートしたのです。
日産は、約2か月後に、国内自動車メーカーでは最速で生産再開を果たしました。

以来、ゴーンさんのいわき工場の視察は、今回が4年ぶり4回目です。
今回、ゴーンさんは、「日産は、今後も復興支援を継続していきます。日産、いわき、そして福島が地域一体となって、明るい未来を築いてきまいしょう」と挨拶しました。

震災から5年。国が主導する復興は進まない一方で、国民の東北への関心は薄れつつあります。前出の「アクアマリンふくしま」や「いわき・ら・ら・ミュウ」の来場者数は、震災前の7割程度といいます。
いま、東北の復興においてもっとも頼りになるのは、民間企業ではないでしょうか。
いわき工場やトヨタ自動車東日本、アイリスオーヤマなど、地域に雇用を確保し、また、継続的に支援を続けることができるのは民間企業ですからね。

今回もまた、ゴーンさんが直接足を運び、「復興支援を継続」と宣言したことは、地域にとって力強い励ましとなったのは、間違いありませんね。

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