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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

東芝は立ち直れるか

東芝は、やや旧聞に属しますが、5月23日、2016年3月期連結決算の訂正に関する説明会を開きました。どういうことでしょうか。

メインは、原子力事業ののれん減損額の修正です。従来、2635億円引き下げるとしたところを、2476億円に訂正しました。計算方法の一部変更によるものです。
加えて、東芝テックの決算の反映、その他誤謬(計算ミス)の訂正などによって、最終的に232億円の純損益の改善となった。また、4399億円の資本金のうち2399億円を減資します。累積損失を一掃する。

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※決算訂正の説明をする東芝代表執行役上席常務CFOの平田政善さん

なぜ、のれんの減損額が変わったのか。説明によれば、のれん代を、マイノリティ・ディスカウントを考慮したものから、考慮しないものに変更した。

決算発表前、監査法人との間で見解の相違があり、発表した5月12日の時点では、マイノリティ・ディスカウントを考慮した会社側の判断を尊重したものの、監査法人の提案を再検討した結果、監査法人のマイノリティ・ディスカウントを考慮しない見解に合理性があるとして、訂正することにしたといいます。
また、税金計算などの計算ミスの理由については、東芝代表執行役上席常務の平田政善さんは、「最終行程が税金の計算ということで、正直いってそこにかける時間が確保できていなかった」と述べました。「時間がなかった」では、もはや、言い訳にもなりませんわね。

新社長のもと心機一転、出直したはずが、またもや決算訂正では、正直、信頼回復は遠のく一方という印象です。

ただ、幸いなことに、原子力、半導体など稼ぎ頭のほかにも、東芝にはさまざまな高い技術の集積があり、新しい、おもしろい技術が開発されています。
事実、25日には、1000万件の顔画像データから特定の人物を、8.31ミリ秒で抽出できる技術を開発したと発表しました。空港の監視カメラと組み合わせて、国際手配犯の顔と照合するなどの用途が考えられるといいます。

東芝が立ち直ることができるとすれば、優秀な技術者をしっかりと育て、技術を育んでいくしかありません。足元の数字に振り回されず、長い目でしっかりと人や技術を育て、名門企業として立ち直ることができるか。正念場です。

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