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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

タカタのエアバッグ問題をめぐる自動車メーカーの思惑

リコール件数はまだ増えるのか。賠償費用の分担は決着がつくのか。投資ファンドに買収されるのか。タカタのエアバッグ問題は依然、解決のメドが立っておらず、いよいよ泥沼化しそうな気配ですね。

米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)が5月5日、タカタに対して、最大4000万個のエアバッグの追加リコールを求めたことで、従来分と合わせると、リコール件数は米国だけで6900万個。全世界で1億2000万個近くがリコールの対象になる見通しです。

一応、リコールはこれで区切りがついたといわれますが、不透明なところがまだあります。米当局が、世論次第で追加リコールなど、次の一手を打ち出してくる可能性があると指摘されているからです。

それに、リコールの費用負担、経営責任の明確化、今後の再建計画などは、むしろ、これからが正念場といえるでしょう。

買収費用の総額は、1兆円にのぼるとみられていますが、さらに追加リコール次第では、最終的に3兆円にのぼるという話もあります。

現在、リコール費用の大半は、自動車メーカー各社が品質管理費用として一時的に立て替えていますが、最終的には、いったい誰がリコール費用を負担するのか。

タカタの自己資本は1400億円、現預金は600億円です。かりにも全額負担をすることになれば、債務超過は免れません。

タカタは、外部の弁護士などで組織する第三者委員会を通して、今秋をめどに費用負担交渉をとりまとめたいとしていますが、その際、カギを握るのが、自動車メーカーによる支援の行方です。

ただ、ここへきて新たな展開が見えてきました。

米投資ファンド大手コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)がスポンサーとして名乗りをあげたんですね。米投資ファンドのベインキャピタル、香港を拠点とするPAGアジア・キャピタルも関心を示していると報じられています。

また、中国の自動車部品大手の寧波均勝電子も買収に関心を示していることがわかりました。タカタを買収し、エアバッグで世界の主要メーカーの仲間入りを果たそうという狙いのようです。

新たなスポンサーが見つかれば、財政基盤の安定性は高まります。しかし、支援者選びは簡単ではなさそうなんですね。

というのは、支援者を選ぶ際は、タカタからリコールの交換部品を調達している自動車メーカーの合意が必要なのですが、必ずしも、自動車メーカーの足並みがそろっているとはいえないからです。

一ついえることは、タカタはエアバッグの世界シェアが約2割です。日本の自動車メーカーにとってみれば、タカタは大変重要な部品メーカーといえます。日本の技術の“保護”のために、簡単に海外メーカーに渡すわけにはいかないでしょう。

タカタは、自動車メーカー向けに開いた説明会で、スポンサー候補について、同業大手の「オートリブとTRWは除く」と言及したといいます。

となれば、再建のためにファンドに出資をあおぐというのは、現実的な解決策かもしれません。

タカタの再建にいたる道筋には、まだまだ解決すべき問題が山積しているといえます。

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