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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

パナソニックの自動追尾カメラ、どう使う?

6月28日、パナソニックは「リモートカメラ自動追尾技術」に関する技術セミナーを行いました。パナソニックは、そもそもコンパクトデジタルカメラから放送事業用の高精細カメラまで、さまざまな映像事業を手掛けていますが、今回の技術は、「人」を自動追尾するシステムです。

「リモートカメラ」とは、その名の通り遠隔操作ができるカメラですね。
「昨今、いろんなところで“省力化”という観点でリモートカメラが使われるケースが非常に増えてきました」
そう語ったのは、パナソニックAVCネットワークス社イメージングネットワーク事業部放送&システム事業担当総括の宮城邦彦さんです。

※リモートカメラのマーケットについて説明する宮城さん

※リモートカメラのマーケットについて説明する宮城さん

実際、リモートカメラは、ビルの屋上などのお天気カメラ、コンサートホールや大学の講義室など、さまざまな場面で使われています。パナソニックは、そのリモートカメラで人間を自動で追尾できる技術を開発したんですね。

例えば、大学の講義をリモートカメラで撮影する場合、講師のほかにも受講者やスタッフなどさまざまな人物が画面に映り込みます。講師の動きだけを追尾したければ、撮影者がついて撮影するか、もしくは、別途センサーなどが必要でした。ところが、今回発表された技術なら、ソフトウェアだけで対応できる。つまり、追尾対象となる講師の顔を登録しておけば、カメラが登録された顔と画像を照合・認証することにより、講師の動きを自動で追いかけてくれる。まさに“省力化”ですよね。

この技術は、今夏導入予定といいます。

また、このリモートカメラの映像を、パソコンやタブレットなどの端末でも円滑に操作・閲覧できます。追尾対象を決定する「動き・頭部検出」や、余計な動きまで処理する負荷を軽減するための「ガボールフィルタ処理」、そして、直前10コマの画像を元に頭部の位置を判定する「テンプレートマッチング技術」などを組み合わせ、重きをおく情報を絞り込んだんですね。

今回の技術に限らず、求められるのは、この技術をいかにほかの技術と組み合わせ、消費者に求められる新しいサービスや商品を生み出すかということでしょうね。
例えば、オリンピック会場でドローンに載せて特定の選手を追尾するとか。
実際、セキュリティカメラの映像解析技術と合わせ、スイミングスクールで競泳選手を自動追尾した画像を使って水泳フォームの確認、改善に役立てることができるわけですね。

さまざまな事業を抱えるパナソニックには、事業横断的な新しいサービスや商品を生み出せる可能性があります。それは、パナソニックの「強み」のはずです。
新技術を「単発」で終わらせない仕組み、さらにいえば、外部の技術と組み合わせるオープンイノベーションが求められているのではないでしょうかね。

ちなみに、リモートカメラの市場規模は、今年度約260億円で、うちパナソニックは3~4割のシェアを握るといいます。今後、年率10%の成長が見込まれるそうです。

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