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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

三菱自動車を救えるのは、ゴーンさんしかいない

三菱自動車は、いったいどうなっているのでしょうか。
今年4月に燃費不正問題が発覚した後、再測定でもまた不正がありました。
三菱自動車は、10月中には日産グループに取り込まれます。
日産CEOのカルロス・ゴーンさんは、また出たのか……とびっくりしているのではないでしょうか。

具体的には、再測定せず、過去の測定結果を流用していた車種があったほか、法令では、3回の走行試験の平均値をとると定めているところを、実際には何十回も走行試験をしたデータのなかから「いいとこどり」をしていた。

先月30日の記者会見で社長兼会長の益子修さんは、数値の選び方について「不適切だった」と認めました。

この不正について、日本自動車工業会会長の西川廣人さんは、9月15日に開かれた定例記者会見の席上、次のようにコメントしました。
「とんでもないことです。大半の自動車メーカーがルールを順守しているなか、特定のメーカーの問題が仕組み全体の不信感につながるようなことは、遺憾でありますし、とんでもないことです。原因と対策を徹底する必要があります。人、仕組み、組織、基準を見直し、根こそぎクリーンアップするにつきます」

西川さんが、少し気色ばんで「とんでもないことです」という言葉を繰り返していたのが印象的でした。

なにしろ、西川さんは、日産の副会長兼COOですからね。ゴーンさんと同じで、びっくり仰天したのではないでしょうか。

※定例記者会見でコメントする自工会会長の西川さん

※定例記者会見でコメントする自工会会長の西川さん

国交省は、三菱自の測定担当者が、法令の趣旨を理解していなかった可能性もあるとしています。益子さんも、「現場が本当に悪いと思っていたか疑問」だと述べましたが、かりにも無知が引き起こした不正だとしたら、あまりにもお粗末としかいいようがありませんよね。

4月以降、社会から厳しい批判を浴びたにもかかわらず、なぜ、不正は繰り返されたのか。企業風土に根深い問題があるのは間違いありません。

4月の不正発覚後に三菱自が設置した「特別調査委員会」は、8月1日に提出した「燃費不正問題に関する調査報告書」のなかで、「会社が一体となって一つの自動車を作り、売るという意識が欠如している」と指摘しています。人間の命を預かる自動車メーカーにあって、この指摘は信じられない話ですね。

さらに、これは再三指摘してきたことですが、三菱東京UFJ銀行、三菱商事、三菱重工業の「三菱御三家が救ってくれる」という“甘え”の意識です。

実際、三菱自は、過去、00年の大規模リコール隠し事件や、02年以降の大型車のリコール隠し発覚をはじめとする失態の末、窮地に追い込まれて、御三家に助け船を出してもらってきましたからね。

ところが、今回、三菱御三家には以前ほどの体力も余裕もなく、かわりに救世主に名乗り出たのが日産自動車だったわけですよね。

もはや、三菱自を立て直すことができるのは、日産CEOのゴーンさん以外ないのではないか。彼の剛腕でもって、「根こそぎクリーンアップ」するしか、三菱自を立て直すすべはないと思いますね。

猶予期間は、1年から2年というところでしょうか。

三菱自を立て直せるかどうか、問われるのは、結局、三菱自よりも、日産の覚悟ではないでしょうかね。

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