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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

サントリーワールドリサーチセンター① サントリーの研究拠点がめざす“外知”との交流

JR京都駅から国道24号を南下、京奈和自動車道を精華学研インターチェンジで降りると、京都、大阪、奈良の3府県にまたがる京阪奈丘陵と呼ばれる緑豊かな里山が広がり、官民の研究機関が点在しています。「けいはんな学研都市」(正式名称 関西文化学術研究都市)ですね。

サントリーの研究開発拠点「サントリーワールドリサーチセンター」は、その一画にあります。
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「けいはんな学研都市」は1987年、学研法の施行によって、国家プロジェクトとしてスタートしたのが始まりです。NTT、パナソニック、京セラ、オムロン、島津製作所など関西企業を中心に131の研究施設が軒を並べています。

2017年度中には、関西で最大規模といわれる日本電産の生産技術研究所が完成する予定です。

指摘するまでもありませんが、関西には、オンリーワン技術をもつ優良企業が多数存在します。

それら企業は、自主自立の精神で自らの強みや魅力を高め、ビジネスチャンスをつかんできましたよね。

ところが、近年、目覚ましく進化している科学技術は、これまでとは様相を異にしているんですね。

一例は、バイオ、ナノテクノロジー、ロボットなどです。そうした新しい技術から生み出されるビジネスは、それぞれがまったく独立して存在するのではなく、相互に関連する分野が多くなっています。

つまり、未来の産業の育成には、優れた技術を有する企業、研究機関の連携や交流が不可欠なのです。

「けいはんな学研都市」では、各研究機関の「知」を結集した、オープンイノベーション式の産学連携プロジェクトが動き出しています。

サントリーもまた、研究開発におけるオープンイノベーションを強く意識しています。

サントリーが、「けいはんな学研都市」にグループの基盤研究機能を集約させたのは、2015年5月です。

サントリーの基盤研究はそれまで、サントリー山崎蒸溜所近くの大阪府島本町に、研究センター、別館、技術開発センターの3つに分かれて存在していました。優れた「知」の創造には、研究部門が相互に協力し、研究者が集まりやすい環境をつくる必要があるというので、基盤研究機能を一か所に集めました。

「サントリーワールドリサーチセンター」の地上4階建ての建物には、「サントリーウェルネス健康科学センター」、「サントリービジネスエキスパート安全性科学センター」、「サントリーグローバルイノベーションセンター」、「公益財団法人サントリー生命科学財団生物有機化学研究所」が入っています。

建物は、水、緑、土をモチーフにした、開放的なデザインです。1階のエントランスから4階までは、開放的な吹き抜けでつながっていて、自然採光がふんだんに取り入れられています。

広々とした一階エントランスは、あえて段差が設けられていて、一見、円形劇場のようです。床面には、奥大山の天然水の森の育林材(間伐材)を有効活用していて、やわらかい印象です。

エントランス右手奥には、サントリーの基盤技術の概要を知ることができる展示コーナーがあります。これまでの研究成果や研究者のプロフィール、研究内容がパネルでわかりやすく紹介されています。

案内してくれたサントリービジネスエキスパートの菅修一さんは、次のように語りました。
「サントリーだけではできないことがたくさんあります。外部のいろいろな研究者とコラボレーションしていけたらと考えています」

「サントリーワールドリサーチセンター」は、外部の知すなわち“外知”との交流を目指しています。研究者が集まりやすい環境を整備し、持続的にオープンイノベーションを生み出す“場”をつくっているんですね。

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