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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ソニーに残された“ハリウッド改革”という一大事業

「平井改革」が総仕上げに入るなか、ソニーはいよいよ“ハリウッド改革”に本腰を入れます。
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15年度は不振続きだったエレクトロニクス部門の黒字化を達成し、16年度はコンスーマーエレクトロニクスの全事業の黒字化が見込まれます。国内の構造改革に一定のメドが立ち、成長軌道にのるなかで、次の試練となるのは、低収益を続ける映画事業の抜本的な改革です。

ソニーは、映画分野における将来の収益計画を見直した結果、2016年度第3四半期において、映画分野の営業権について、減損1121億円を営業損失として計上することを発表しました。

主な対象は、1989年に買収したコロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメント社の営業権です。権利を得たDVDなどのパッケージメディアやデジタル販売事業の縮小を受けて、将来の収益見通しを引き下げました。

振り返ってみれば、ソニーは「アメリカの魂」ともいえるコロンビア・ピクチャーズの運営に苦悩してきました。実際、ソニー・ピクチャーズは赤字をたれ流し、本体のソニーの収益の足を引っ張りつづけました。94年には、27億ドルの営業権の一時償却を行いました。

04年、ソニー・ピクチャーズ立て直しのために、社長として送り込まれたのが、ハーバード大学ビジネススクール出身で、タイム・ワーナーの上級副社長だったマイケル・リントン氏です。

リントン氏は、一作品の総費用が100億円を超えるといわれる“水モノ”の映画ビジネスの収益の安定化に向けて、DVDなどのパッケージメディア事業などに力を入れました。

ところが、ご存じのように、DVDなどのパッケージメディアはインターネットの動画定額視聴にとって代わられ、近年はヒット作にも恵まれませんでした。16年度は映画事業の売上高見通しを二度、下方修正しました。

そうしたなかで、飛び込んできたのが、リントン氏の退任のニュースです。2月2日付けで、ソニーの執行役を退任することを発表したんですね。

「今後の成長を考えると、いまがSnap.inc取締役会会長の職務に注力するタイミングだと判断しました。私はソニーの皆さんと一緒に遂行したすべてのことに大きな誇りを持ち、この会社を卒業します。私たちが行った大きな改革と、ここ数年で作り上げた新しいエンタテインメント事業の経営チームが今後事業全体を強化していくと信じています」と、リントン氏はコメントを発表しました。

リントン氏は今後6か月間、ソニー・エンタテインメントに共同CEOとして残り、平井社長とともに後任の人選に取り組んだ後、写真・動画共有アプリ「スナップチャット」を運営する米スナップの取締役会会長に就任する予定です。

映画分野の将来の利益成長を見込んでいることから、ソニーは映画分野を引き続き重要な事業に位置づけていく方針です。

果たして、映画事業をどのように立て直していくのか。「平井改革」の総仕上げとしても重要な取り組みとなるはずです。

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