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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

有機ELテレビ再参入は、ソニー復活の象徴となるか

ソニーの有機ELテレビが10年ぶりの復活です。4K対応、それも、65型、55型と、かつて挫折した大画面で、「ブラビアA1シリーズ」として堂々の“返り咲き”ですよ。

※新型4K有機ELテレビ「ブラビア」

そもそも、世界初の有機ELテレビを発売したのは、ソニーですよね。07年に11型有機ELテレビ「XEL-1」を発売した。私の事務所にも1台ありますが、当時、その画面の美しさは圧倒的でしたよね。

しかし、パネルの歩留まりがネックといわれ、大型の有機ELテレビは実現しないまま、ソニーは有機ELテレビ市場から撤退したんですね。

そうこうしているうちに、韓国のLG電子が大型の有機ELテレビを開発、販売し、いまや先行しています。

しかし、ソニーの有機ELテレビの技術開発は、その後も細々と継続されていたようなんですね。それが、今回、陽の目を見るわけです。国内で6月10日の発売予定です。

ソニーは、ペット型ロボット「AIBO」からも06年に撤退しましたが、昨年、10年ぶりにロボット再参入を発表しています。大型有機ELテレビの発売もまた、ロボットに勝るとも劣らない、ソニーの“夢”の復活ではないでしょうか。

つまり、ソニーに、“夢”を見る余裕が戻りつつある。万年赤字だったテレビ事業は、14年に11年ぶりに黒字化を達成しました。また、先月の業績発表会では、今期のソニーの営業利益の見込みを5000億円とし、回復の兆しを印象づけていますからね。

今回発表された65型と55型有機ELテレビは、これまでソニーが培ってきた有機ELモニターの高画質化、大型化に加え、ソニーの独自技術である「アコースティックサーフェス」技術が加えられました。

「アコースティックサーフェス」技術とは、テレビの背面の左右に、アクチュエーター(電気エネルギーを運動に変換する装置)が搭載されており、このアクチュエーターが有機ELパネルを振動させることによって、画面から直接音声が出てくる。画面そのものがスピーカーになるため、外部にスピーカーは不要で、デザインがきわめてシンプル。

面から音が出るため、コンサートの映像であれば、視聴者がまるでコンサート会場にいるような、臨場感のある「画音一体」の視聴体験ができる。

テレビをはじめとするエレクトロニクス事業は、ソニーの業績回復のカギを握っています。ただし、大型の有機ELテレビは、じつは、今年3月に東芝が参入、パナソニックも発売を計画するなど、激戦が予想されます。

果たして、「ブラビア」は、混戦を勝ち残ることができるか。ソニーのエレキの“完全復活”、いや、“夢”復活の試金石といえるでしょう。

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