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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

パナの“ミラーレス一眼”の可能性

「ミラーレス一眼」が生まれて10年経過します。昨今のミラーレス事情はどうなっているのでしょうか。

「ミラーレス一眼」が、世界で初めて発売されたのは、2008年です。機種は、パナソニックの「LUMIX DMC-G1」でした。その後、続々と他社が参入し、「ミラーレス一眼」は、いまや知名度を得たのではないでしょうか。

※技術セミナーで説明するパナソニックアプライアンス社イメージングネットワーク事業部技術総括担当の森勉さん

「ミラーレス一眼」は、簡単にいえば、一眼レフのミラーをなくし、光学ファインダーを電子ファインダーに置き換えたレンズ交換式カメラのことです。メリットとしては、構造がシンプルになり、小型化、軽量化できることが大きい。

もちろん、光学式に比べて電子ファインダーは表示に一瞬のタイムラグがあるとか、電池の消耗が速い、レンズの品揃えが少ないといったデメリットは指摘されている通りです。今後の課題といえばいいでしょうかね。

一昨日、パナソニックは、3月に発売したミラーレス一眼「GH5」の技術セミナーを行いました。席上、パナソニックアプライアンス社イメージングネットワーク事業部技術総括担当の森勉さんは、次のようにコメントしました。
「一眼レフ市場、コンパクト市場は縮小するのに対し、ミラーレス一眼の市場は成長すると見ております。構造上、ミラーレスは小型であるために、一眼レフから置き換わっていくと予測しております。ミラーレス一眼にリソースを注力して事業成長を目指して参ります」

※パナソニック資料より抜粋

スマートフォンなどで簡単に写真や動画が撮影できるようになり、デジタルカメラ市場においてコンパクトデジタルカメラは苦戦を強いられている。一方、ミラーレス一眼の市場は、新しい技術を次々と搭載し、一眼レフからの置き換えもあって、何とか微増を続ける予想だということです。

※3月に発売された「DC-GH5」

パナソニックは、デジタルカメラ市場への参入は国内最後発でした。しかし、世界初のミラーレス一眼に始まり、世界初の4Kミラーレスカメラ、同じく世界で初めて、レンズ側と本体側の補正を連動させた手ぶれ補正機能「Dual I.S.」など、他社に先駆ける技術を次々と搭載してきました。

3月に発売された「GH5」にも、ミラーレス業界初の技術が搭載されています。4K/60P動画の時間無制限記録が可能な機能です。また、約18メガの画素数で、秒間30コマの高精細映像から6Kサイズの静止画を切り出すことができる機能も搭載されている。

パナソニックにとって「オシ」は、動画撮影でしょうね。というのは、ニコンやキヤノンといった長い歴史をもつカメラメーカーに比べ、01年にデジタルカメラ市場に参入したばかりのパナソニックは、写真の技術や知見では、どうしても劣勢です。しかし、動画の撮影の技術に関しては、一日の長がある。

近年、ネット上には、さまざまな動画があふれています。一眼レフやミラーレス一眼を使った美しい動画のニーズも増えている。プロのカメラマンも、写真だけでなく、動画も撮影する人が増えていますし、ユーチューバーやSNSへの投稿など個人のニーズもある。あえていえば、そこに、「LUMIX」の勝機があるでしょうね。

※パナソニックのミラーレス用レンズ

パナソニックの「LUMIX」は、ミラーレス市場において、強敵の多い国内市場に比べ、フランスではシェア1位、独仏英米では2位など、欧米市場で好調です。

パナソニックにとって、動画と静止画技術の融合は、老舗カメラメーカーとの勝負の切り札といえるでしょうね。

 

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