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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

船をつくる前に町をつくる。ツネイシの海外進出の挑戦

企業は、高い利益を出せばいいというわけではない。社会貢献が求められるようになりました。でないと、これからの企業の発展は望めないといわれています。

※フィリピンの町並み

そこまでやるのか?と思いましたが、そこまでやらなければいけないんですね。企業の社会貢献についてです。

造船事業大手の常石造船の例をお話しましょう。昨年、フィリピンセブ島のバランバン町にある造船所を取材しました。

1994年に設立され、現在では3万トン級から18万トン級のばら積み貨物船を中心に、年間最大30隻の建造能力をほこります。従業員は協力会社を含め1万人以上を超えるフィリピン有数の造船所になりました。

ただし成長、そのウラには並々ならぬ努力があったんですね。

常石は船をつくる前にまず町をつくりました。なぜ町か。町をつくらないことには、働く人を確保できないからです。

町の病院に入院病棟を建設して、ベッドを寄贈し、現地の大学キャンパス設立にあたっては校舎を建設して、提供しました。

また学校を修繕するため、壁を塗ったり、屋根を直すなど、積極的にボランティアを行いました。1996年からは、周囲の森林でマングローブの植樹をして、これまでに2万9000本の苗木を植樹しているんですね。

バランバン町の人口は、1994年の約4万5000人から約8万人と増え、自治体の歳入は21倍に増加しました。フィリピン経済特区庁からフィリピン経済の成長への貢献や、地域の発展に貢献するCSR活動でも功績を認められて、優秀輸出企業賞と優秀地域プロジェクト企業賞など、これまで9回にわたって受賞しています。

地元に愛される存在にならなければいけない。海外に定着するというのはそういうことですね。そこまでやるから信頼できるいい人材がくる。技術力の蓄積にも繋がりますね。

常石造船の取り組みは、メーカーのみならず、グローバルビジネスへの挑戦を進めるあらゆる企業にとってのモデルケースになると思います。

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