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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

喫茶店の”おひとりさま”需要のウラ

私は喫茶店のヘビーユーザーです。ほぼ毎日、出かけます。

資料を読んだり、原稿を書いたりしています。それから、都心に取材に出かけた際、時間調整で喫茶店を利用することはしばしばあります。新宿、大手町、品川などには、コーヒーのおいしくて、気兼ねせずに長居できる行きつけの店が何軒かあります。

喫茶店といえば、戦後の一時期、クラッシック音楽やジャズを流す喫茶店がありました。喫茶店文化の時代といったらいいでしょうか。私も新宿のジャズ喫茶に入り浸っていたことがあります。それはいまや昔の話。

長年、喫茶店通いをしていてつくづく感じるのは、最近、喫茶店の客層や利用の仕方が変わったことです。

まず目につくのは、高齢化社会を反映して、おじいさんやおばあさんの“おひとりさま”利用がとても多くなった。もっとも、喫茶店は独りでいってこそ、ゆっくりと充実した時間が得られます。

最近、いよいよ喫茶店の孤独族が増えた気がしますね。住宅街の朝の「ドトール」は、年金生活者の溜まり場のようになっています。カウンター席で本を読む人、パソコンを使っている人、勉強をしている人……。現に、事務所近くの喫茶店は最近、店内を改装し1人席を圧倒的に増やしました。もっとも、喫茶店を英会話教室にしているのを防止するためかもしれませんがね。

夜の“おひとりさま”利用も多い。これは働き方の変化が影響しているのではないでしょうか。会社の残業規制があり、定時に追い出されるので、家に帰る前に残務整理をしてしまおうということでしょうかね。喫茶店は、まさしく現代の居場所です。

学生街の喫茶店が典型的ですが、かつての喫茶店はおしゃべりの場として機能することが多かった。打ち合わせや、議論をしたりするなど、比較的に多人数で使用していた。そう、昔は、編集者と喫茶店で待ち合わせしたものですね。

なかには、町の応接室のようなつくりをした喫茶店がありました。「ルノアール」がそうで、ビジネスマンの商談の場になっていた。そして、外回りの営業マンの息抜きの場でもありましたね。そのような喫茶店の使い方は、総じて減っているように思います。

最近「ドトール」に象徴されるセルフ式にかわって、少しおしゃれで、ぜいたくな空間を売り物にする店が出てきました。「星乃珈琲店」、「コメダ珈琲店」などがそうですね。

例えば、同じドトールカフェホールディングスのグループの「ドトール」と「星乃珈琲店」を比べても、価格が違います。「ドトール」ではコーヒー1杯220円、「星乃珈琲店」では、最低でも420円、都心のお店だと600円もします。客単価が違う分、空間に付加価値を付けているわけですね。

都会では、若者から高齢者まで、単身世帯が増えている。“おひとりさま”が増えるなかで、“おひとりさま”需要の受け皿となる商品やサービスが充実するのは当然の流れといっていいでしょうね。

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