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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

マツダは、年間200万台を戦えるか

マツダは、2024年度の世界販売台数を200万台に引き上げると発表しました。18年度計画と比べて、2割増です。その狙いは、どこにあるのでしょうか。

※マツダ社長の小飼雅道さん

マツダは、18年度を最終年度とする中期経営計画で世界販売165万台を目標に掲げています。トヨタと共同で設立する米国新工場が稼働する22年3月期には年間180万台、その2年後の24年に200万台をめざす計画です。

「年間5万台規模の成長を維持しながら、200万台をターゲットに経営基盤を整えていきます」と、マツダ社長の小飼雅道氏は、4月27日に開かれた記者会見の席上、述べました。

年間200万台を戦うための条件とは、いったい何なのでしょうか。

ご存じのように、年間1000万台規模を勝ち残りの目安に掲げるのは、独フォルクスワーゲン、トヨタ、ルノー日産三菱自動車アライアンスです。

生産規模が拡大するほど、生産単位当たりの固定費が減少し、競争上、有利になりますが、その反面、経営の複雑性と難易度が飛躍的に上がり、デメリットが無視できなくなるのは、これまでも触れてきた通りです。いわゆる“1000万台の壁”です。

当然、200万台規模の自動車メーカーは、規模の勝負では勝ち目はありません。開発資源にも限りがあります。ですから、200万台規模のメーカーには、200万台規模の戦い方がある。また、逆に、規模の小さいメーカーならではの強みも持っています。

200万台規模の自動車メーカーといえば、「ジャーマン御三家」といわれるドイツのプレミアムブランドメーカーです。独フォルクスワーゲン傘下のアウディの17年の世界販売台数は187万8100台、独メルセデス・ベンツが228万9344台、独BMWが246万3526台です。

「ジャーマン御三家」に共通するのは、いずれも高いブランド力をもっていることですよね。長い歴史と伝統に支えられたブランド力、そして、確固たるアイデンティティを強みにプレミアムブランドをめぐる戦いを繰り広げています。

では、マツダの強みとは何なのか。

マツダの強みの一つは、世界が評価するデザイン力です。「すべての人に受け入れられる必要はない。世界市場の2%に共感してもらえればいい」という信念のもとに、コアなファンを確実につかんでいます。

これこそ、経営規模が小さいからこそ、持てる強みといっていいでしょう。1000万台規模のメーカーが、「世界市場の2%に共感してもらえればいい」などとは、口が裂けてもいえませんからね。

もう一つは、「スカイアクティブ テクノロジー」です。エンジン、トランスミッション、ボディ、シャーシなどの「スカイアクティブ テクノロジー」の個々のユニットを統合的に制御し、全体最適の考え方で連携することによって、「人馬一体」の走りを実現しています。

規模のメリットに目を向ける自動車メーカーがつくるクルマと、経営規模の小さい自動車メーカーがつくるクルマの、どちらが魅力的か。答えは自ずと出ますよね。

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