Loading...

経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

パナソニックの電動アシストマウンテンバイク、快走中!?

パナソニックの電動アシストマウンテンバイク(e-MTB)が好調です。

5月18日、パナソニックサイクルテックは、都内で「電動アシスト自転車(EB)スポーツモデル」発表会を行いました。以前、「パナの電動アシストマウンテンバイクは成功するか」と題した記事でも取りあげましたが、その続報です。

※パナソニックサイクルテック社長の片山栄一さん

パナソニックサイクルテックは、ヨーロッパで定着したe-MTBを、昨年日本に投入し、新しい市場を創造できるかどうかが試されていました。

結果は、成功といえます。税抜き33万円のe-MTB「XM1」は、年間目標台数の200台を、昨年9月の発売から一か月で達成。現在、年換算で8倍の勢いで売れている。スポーツEB市場におけるパナソニックサイクルテックのシェアは、17年に68%といいます。

「まさに我々が『XM1』で、スポーツEBの市場をつくったというふうに自負しています」

と、パナソニック執行役員で、パナソニックサイクルテック社長の片山栄一さんは語りました。

今回発表されたのは、機能向上を図った「XM1」に加え、さらに上級の、税抜き38万円のe-MTB「XM2」と、より手ごろな電動アシストクロスバイク「XU1」の3台です。

新製品の「XM2」は、1充電あたりの走行距離が、ロングモードで約107キロと、12Ahの大容量バッテリーを搭載しました。また、従来の10段変速のドライブユニットに、国内初の「内装2段変速機構」を搭載させ、20段の変速が可能な「マルチスピードドライブユニット」としました。


※新型e-MTBの「XM2」

これにより、街中での高速走行に最適なギヤポジションと、勾配20%以上の急坂に最適なギヤポジションを使い分けることができようになりました。

加えて、従来の「XM1」にも採用された、バッテリーと自転車のフレームを一体化した「セミインテグレーテッドバッテリー」が搭載されている。一見、電動アシスト自転車には見えないスタイリッシュさが、年寄り臭くなくていいんでしょうね。

というのも、e-MTB「XM1」の購入者の多くは、60代で、「90年前後のマウンテンバイクブームを経験している世代」といいます。会社をリタイヤし、体を動かす新たな趣味を探すシニア層が飛びついた。山を登るほどの体力には自信が無いけれど、電動アシスト付きのマウンテンバイクなら乗れそうだという“アクティブシニア”に、ハマったんですね。

パナソニックサイクルテックは、今後、スポーツEB市場の創造へ向けた今後のビジネス展開として、観光地やリゾート地での電動アシスト自転車のレンタルやリース、サイクリングツーリズムの提案を行っていくといいます。

例えば、夏場のスキー場などで、パナソニックの中古のe-MTBを使ってレンタル・リースを検討するなど、シェアリングモビリティに近い事業を展開していく。また、観光地やリゾート地では、サイクリングツアーそのものを事業化していくといいます。

e-MTBを観光地やリゾート地で体験してもらうことによって、非日常を体感する、新しい価値体験の提供です。「コト体験で本質体験の提供」をする、「モノからコトへ」の流れが、ここでも進んでいます。

パナソニックサイクルテックは、17年度の売上高が過去最高を更新したことを皮切りに、4年後の2021年度には、売上高450億円、利益率10%を目指します。

人口減少と高齢化が進む日本のマーケットにおいて、スポーツEB市場は拡大している。パナソニックサイクルテックは、18年度、ラインアップ強化により前年比2.5倍の販売金額を見込んでいます。今後も、パナソニックの自転車は快走できるでしょうか。

ページトップへ