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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタは燃料電池車普及でなぜセブンと組んだのか

トヨタ自動車とセブン‐イレブン・ジャパンは6日、2019年からセブン‐イレブンの商品配送に、トヨタのFCV(燃料電池車)を導入すると発表しました。


店舗への冷蔵商品の配送に利用されるのは、トヨタの量産FCV「ミライ」の技術を活用した水素で走るトラックです。一回の水素補充で約200キロ走行できるほか、冷蔵・冷凍設備の給電にもFC(燃料電池)を利用できます。

トヨタはなぜ、セブン‐イレブン・ジャパンと組んだのか。

「セブン‐イレブンとの共同プロジェクトには大きなメリットがあります」と、6日、東京都内で開かれた合同記者発表会の席上、トヨタ副社長の友山茂樹氏は述べました。

セブンのコンビニは現在、2万260店舗あります。約6000台の配送トラックが毎日、24時間、商品を運びつづけています。

「配送トラックは、一日200キロ走り、『ミライ』の35倍にあたる一日、7キロの水素を使います」と、友山氏は語りました。

トヨタが、セブン‐イレブンの配送車に期待するのは、水素燃料の需要の拡大です。

乗用車では水素利用に限界がありますが、産業車両用への拡大を進めれば、一気に水素燃料の利用が増える。つまり、水素燃料の安定需要が確保されれば、水素ステーションの整備が進み、FCVの普及につながるというシナリオです。

水素ステーションの黒字化には、周囲に900台のFCVが必要とされます。「ミライ」の35倍の水素を使うFCトラックなら、水素の需要を一気に稼ぐことができます。

トヨタは、ほかにもFCの産業車両の展開に力を入れています。

例えば、大型バスです。FCバスはすでに、東京都交通局に納入され、東京駅~東京ビッグサイト間を走っているほか、豊田市でもFCバスが走行しています。ほかに産業用では、フォークリフト用FCシステムの導入が進められています。

「将来的には、全社全地域に、FCトラックを入れたい」と、セブン‐イレブン・ジャパン社長の古屋一樹氏は語りました。

近い将来、セブンのFCトラックが全国を走り回る日がやってくれば、日常的にFCトラックを目にすることになるでしょう。それは、いま一つ、認知度が高いとはいえない水素エネルギーを広く知ってもらうための絶好の機会になるはずです。

トヨタがセブンと組んだことの意味は小さくないといっていいでしょう。

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