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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

マツダはどこまで投資負担を「我慢」できるか

年間販売台数160万台のマツダが、大変革期を生き残るのは並大抵のことではありません。19年以降に投入予定の「スカイアクティブX」搭載車の開発費用に加えて、環境対応費用、米国での販売費用や販売網を強化するための費用など、投資は膨らむばかりです。マツダはどこまで高水準な投資負担に耐えられるか。まさに「我慢」のときを迎えているのは間違いありません。


※マツダの藤本哲也常務執行役員

マツダは1日、2018年4~6月期の連結売上高が前年同期比9%増の8731億円、純利益が同44%減の206億円、営業利益が同17%減の331億円だったと発表しました。

グローバル販売台数は、クロスオーバー車種の「CX‐5」「CX‐8」などの販売がグローバルで好調だったこと、タイとベトナムの販売が牽引したことから、対前年7%増の40万3000台で、この期としては過去最高でした。

利益減少の主な要因に、米国での販売店網の再構築費用などがありますが、それは、今後のマツダの成長に向けて避けては通れません。

というのも、マツダは、中長期の経営計画で2023年度に世界販売200万台を目ざすと発表しています。

すでに報道されている通り、マツダは、米国アラバマ州にトヨタとの合弁で新工場を設立し、クロスオーバーモデルを年15万台生産する予定で、現在の生産台数と合わせて200万台とする計画です。

米国での生産規模が大きくなるなかで、それに見合う台数を売っていかなければならない。それには、米国での販売を安定させることが不可欠なんですね。

米国工場は、21年に稼働予定です。その前に、先行して販売力を高めておく必要があります。販売ネットワークの改革費用として、今年度100億円、今後4年間で約400億円の投資を計画しています。

その一方で、マツダは米国への輸出比率が非常に高いんですね。17年度は米国で約30万台を販売しましたが、そのうち日本からは23万台を輸出しています。米国に工場を持たないマツダにとって、25%の関税が発動された場合、その影響は非常に大きいといえます。

「これは、社長に答えてほしい問題です」と前置きして、常務執行役員の藤本哲也氏は、貿易問題について次のように語りました。

「自由で公正な貿易環境を支持していくという立場に変わりはありません。スタディーはありますが、しっかり状況を注視していきます」

2022年以降の本格的成長に向けて、マツダはどこまで「我慢」できるか。そして、成長のための足場づくりができるか。まさに正念場を迎えているといっていいでしょう。

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