Loading...

経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日野自動車、商用車の大変革期を乗り越えられるか

「100年に一度の大変革」といわれる自動車業界で、乗用車と同様に、商用車もビジネスモデルの転換が求められています。

日野自動車は、10月30日に第2四半期決算を発表し、同時に2025年に向けた中長期ビジョンを示しました。売上高は過去最高を更新。通期見通しは、売上高は700億円、営業利益は30億円上方修正しました。


※ビジョンを発表する日野自動車社長の下義生氏

ビジョンでは、①安全、②環境、③顧客のビジネス発展支援、④人流・物流の効率化という、四つの価値を提供して持続的成長を目指します。

安全面では、20年に高速道路、30年に一般道での死亡事故ゼロを目指す。運転支援技術や自動運転技術、ドライバーモニターなどの先進技術の応用がカギになります。

環境では、50年にディーゼルエンジンのみの車両は廃止し、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車など電動車をフルラインナップに拡大する。

③④については、今年4月からスタートした「HINO CONNECT」が威力を発揮します。運航管理サービスや予防整備など、車両1台ごとに顧客に合わせてカスタマイズされたトータルサポートを提供する。また、トヨタグループや荷主、運送事業者と共に、人流・物流ソリューションを提供する考えです。

商用車市場は、乗用車と同様、「CASE(コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化)」が進んでいます。むしろ、100年に一度といわれる自動車産業の変革は、乗用車より商用車のほうが先に迎えるといわれます。

したがって、商用車においても、今後、単品売り切りのビジネスモデルは通用しなくなる。力を入れるのは、メンテナンスやソリューションなど、売ったあとのビジネスですよね。

日野は、25年までに、世界販売台数を、現状の約18万台から約30万台に、世界保有台数を、現状の約175万台から270万台に増やし、さらに整備のために日野の販売店に入庫する車両の数を、現状の3割から、25年に約5割まで増やしたい考えです。

整備や部品、金融の事業を収益につなげる。また、新領域としてソリューション事業にも進出し、将来的な安定事業に育てたい考えです。

会見の席上、下社長は、「従来の枠にとらわれない仲間づくりを進めています」と、何度も強調しました。

例えば、フォルクスワーゲングループ傘下のトレイトングループと、電動車の開発や調達に関して戦略的協力関係の構築を進めるほか、昨年提携したインドの商用車メーカー、アショック・レイランドとの提携領域を拡大します。いすゞとの高度運転支援技術やITS技術の共同開発、トヨタ、マツダ、デンソーの合弁会社EV C. A. スピリットの電気自動車のプラットフォーム開発などとも連携して、ビジネスの基盤強化につなげます。

今後、ソリューション事業を軌道に乗せるためには、自動車産業に限らず、業種の壁を越えた提携や協業が必要になります。商用車もまた、大変革期を乗り越えるための挑戦を求められています。

ページトップへ