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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日産「フォーミュラE」に参戦

日産が、FIA(国際自動車連盟)が主催するフォーミュラE選手権(FE)への参戦を表明したのは、昨年の東京モーターショーでした。先月30日、日産は、そのフォーミュラEの体制を発表しました。開幕戦は12月15日、サウジアラビアで行われます。

※左からオリバー・ローランド選手、セバスチャン・ブエミ選手、日産常務執行役員ルードゥ・ブリース氏、高橋明誠選手、ヤン・マーデンボロー選手

FEは、2014年から行われている電気自動車(EV)のフォーミュラカーのレースです。まだフォーミュラ・ワン(F1)ほど知名度は高くありませんが、いまや、アウディやジャガー、今シーズンからはBMWも参戦。ポルシェやメルセデスも来期からの参戦を表明しており、人気が低迷するモータースポーツ界において、注目のレースなんですね。

歴代レースを見ると、シーズン1、2、3は、チーム部門で「ルノー・e.dams」が三連覇を果たしています。しかし、昨シーズンは、アウディのチームが初めて、その座を奪った。今シーズンから日産が参戦することを受けて、ルノーは、昨シーズンでFEから撤退しています。

日産は、国内メーカーとして初参戦ですが、ルノーが参戦していたことを考えれば期待は大きいですよね。

日産は、ルノーと組んでいたe.damsと組み、「日産e.dams」として参戦します。ドライバーは、FEシーズン2のドライバーズ・チャンピオンのセバスチャン・ブエミ選手に加え、オリバー・ローランド選手を迎えます。さらに、リザーブドライバー兼テストドライバーとして、高星明誠選手を迎えます。

かつて、モータースポーツの最高峰F1において一世を風靡したホンダでは、「レースは走る実験室」といわれています。レース、すなわち勝つか負けるかの真剣勝負は、技術やノウハウ、さらに技術者たちを鍛え上げる最高の舞台だからです。

実際、ホンダは、二輪や四輪のレースで高い技術を培い、市販車に還元することで、自動車メーカーとしては後発ながら、着実にプレゼンスを築いてきました。近年は振るいませんが、F1から得たブランド力は、いまでもホンダを支えています。

FEも、熾烈な競争を重ねることによって、EVの技術力、ノウハウ、さらに技術者を鍛える効果があるのは、F1と同じです。世界的にEV市場の拡大が見込まれるなかで、EVにおけるブランド力を高める効果も期待できます。

FEは、まだ始まったばかりですが、5年の間にも技術進化が進んでいます。例えば、昨シーズンまでは、電力不足のためにレース中にマシンを乗り換える必要がありましたが、今シーズンから第二世代のマシンが採用され、乗り換えが不要になります。搭載される電池の容量は、従来の約2倍になったといいます。

日産は、FE体制の発表と同時に、新型EVレーシングカー「リーフ ニスモ RC」を初公開しました。


※初公開されたEVレーシングカーの新型「リーフ ニスモ RC」と、ブリース氏(左)、松村氏(右)

「『リーフ ニスモ RC』は、インテリジェントドライビング、インテリジェントパワーの2つを具現化できるよう、『リーフ』のモチーフを用いて開発したレーシングコンセプトのクルマです」
ニッサン・モータースポーツ・インターナショナルCOOの松村基宏さんは、そうコメントしました。

2011年に発表された初代「リーフ ニスモ RC」に比べ、最高出力(240kW)と最大トルク(640N・m)は、2倍以上といいます。ここからも、EVの技術進化のスピードがうかがわれますよね。

日産は、2010年、世界初の量産型EV「リーフ」を発売して以来、EVに関する技術の蓄積は世界一と自負してきました。その「日産」ブランドでのFE参戦ですから、どこまで勝負できるのか、お手並み拝見です。

優勝して、ゴーン・ショックをぶっ飛ばす……ということにはなりませんかねェ。

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