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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

村上農園「B2Bビジネス」への本格参入

かいわれ大根や豆苗で知られる村上農園が、いよいよ外食やホテルなど業務用市場に参入します。村上農園はなぜ、「B2Bビジネス」を確立できたのか。「農業は成長産業である」という社長の村上清貴氏の信念があるからですね。

村上農園は、ITを活用した全国8か所の「植物工場」で、かいわれ大根や豆苗などのほか、「ブロッコリー スーパースプラウト」などの発芽野菜を生産、販売しています。

※村上農園の「植物工場」

村上農園は、ITを活用した全国8か所の「植物工場」で、かいわれ大根や豆苗などのほか、「ブロッコリー スーパースプラウト」などの発芽野菜を生産、販売しています。

数年前、取材で村上農園の「植物工場」を訪れましたが、工場は完全人工光型で、温度管理や水やりのタイミングなどがすべてコンピュータ管理されていました。

科学的なデータに基づく生産管理は、「土のにおい」のする従来型の農業とはまったく異なる、まさに、農業のIT化でしたね。

社長の村上清貴さんは、当時から、いわゆるコンシューマー相手の「B2Cビジネス」と同時に、業務用の「B2Bビジネス」を目指していました。

なぜか。一般消費者向けの商品は、単価が安く、売り上げが安定しないのに対して、レストランやホテルなどを相手にする「B2Bビジネス」は、取引金額が大きく、いったん受注が決まれば、リピート注文がとれる割合も高いからなんですね。

村上農園は、発芽野菜における「B2Bビジネス」の先駆者のオランダのコッパート・クレス社と提携し、「B2Bビジネス」の構築を模索してきました。

コッパート・クレス社と提携した業務用商品の生産を山梨北杜生産センターで開始し、全国への供給体制を整えるなど、着々と準備を進め、営業担当の専任者を増やしました。

「植物工場」でつくられた野菜の最大の利点は、天候に左右されることなく安定的な価格でコンスタントに届くことです。また、密閉した施設で栽培を行うため、虫などの異物が混入しにくく、衛生的なことも評価されています。

安全性が求められるファミリーレストランなどの外食産業にとって、安心して使える野菜が安定的に供給されることのメリットは大きく、今後も「植物工場」で生産された野菜の使用量の拡大は容易に想像できます。

村上農園は、ファミリーレストランなどの大量仕入先を確保したことで安定的な収益源を手にいれたことになります。

村上さんは2012年、「儲かる農業」の実現を目ざして、2020年代に売上高100億円を達成する目標を掲げました。

その目標は、2018年12月期にすでに達成しています。今後は、「B2Bビジネス」をどこまで成功させられるか。そして、さらなる安定収益の確保につなげられるかが勝負になりそうです。

「農業は成長産業である」という村上さんの挑戦は、まだまだ続きそうですね。

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