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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日産の再生はこれからだ

日産が外部識者をメンバーに設置した「ガバナンス改善特別委員会」は27日、最終会合を開いて提言をとりまとめ、日産に提出しました。日産は、6月の株主総会までに新体制を固める方針です。

※西岡清一郎氏(左)と榊原定征氏(右)

特別委員会は、横浜市で会見を開き、冒頭、特別委員会共同委員長の榊原定征氏は、「27日、18時に日産取締役会に報告し、日産からは『提言内容を真摯に受け止め、6月の株主総会までに最大限対応する』という回答をもらいました」と述べました。

特別委員会は、「ゴーン氏及びケリー氏について、法令違反、社内規定違反、会社資金・経費の私的利用等を疑うに足りる事実、及び経営者としての倫理観の欠如を示す事実が存在すると判断した。本件不正行為等を防ぐことができなかった日産のガバナンスに、改善を要する問題点があったことは明らかである」と指摘しました。

「不正行為を防げなかった日産のガバナンスに問題があった」と、特別委員会共同委員長の西岡清一郎氏は説明しました。

特別委員会は、取締役の過半数を社外取締役にして、6月末に現在の「監査役会設置会社」から「指名委員会等設置会社」への移行を求めました。

また、「指名委員会」「報酬委員会」「監査委員会」は、社外取締役を過半数とし、とくに「報酬委員会」は、全員を社外にするべきだとしています。

さらに、会長職は廃止し、従来は会長が兼務していた取締役会議長は社外取締役を選任する規定を設けるべきだと指摘しました。

榊原氏は会見の席上、「思い切った発言だ」と強調し、「執行役の長と監督の長の二つの帽子をかぶっている会長は廃止しようとなった」と説明しました。

執行と監督の分離を明確にしたことや、取締役会の過半を社外取締役とすることなど、特別委員会が、日産の経営体制を安定化させ、〝外堀〟をしっかり固めようとしていることは評価していいでしょう。

提言は、現行のコーポレートガバナンス・コードが要求する水準を上回る強固なガバナンスの構築を日産に求めると同時に、現行のルールだけでなく、その後の改正に向けた動向や国際ルールも踏まえて作成されました。

大株主のルノーにしてみても、まずは日産がガバナンス体制を固めようとしていることについては、異論はないはずです。

もちろん、社長の西川氏らゴーン氏の不正を許した経営陣の責任を問う声はあり、違和感があるのは否めません。また、特別委員会がまとめた提言は、ルノーとの資本関係の見直しには触れていません。

問われるのは、提言の実効性です。どのような体制をつくり、日産の経営を正常化していくのか。
いよいよここからが日産の正念場になります。

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