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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

東京モーターショーが挑む大いなる実験

東京モーターショー2019が24日、開幕しました。昨日のブログにも書きましたが、今回の東京モーターショーはこれまでとはだいぶ様子が違います。それは、苦しい条件を乗りこえるための実験ともいえます。

※有明エリアの会場の東京国際展示場

今回の東京モーターショーは、来年の東京五輪のため、東京ビッグサイトの東館が使えないという状況下での開催となりました。そこで、東京ビッグサイト西、南展示棟の「有明エリア」に加えて、新たに「青海エリア」に会場を拡大して開催しています。

「有明エリア」と「青海エリア」間は、無料シャトルバスがひっきりなしに運行されていますが、それでも気軽に移動できる距離ではありません。

※無料シャトルバス

距離感をどうカバーするか。二つのエリアをつなぐ道を「OPEN ROAD」と名づけ、電動キックボードや次世代小型モビリティなど、未来のモビリティに乗って行き来できるようにしました。「OPEN ROAD」には、キッチンカーが並び、食べ歩きを楽しみながら、レアなモビリティやスーパーカーなどを見てまわることができます。

海外メーカーの不参加も、東京モー ターショーが直面する苦しい条件といえます。加えて、新型車や試作車の展示では、来場者を集められないという本質的な問題に、東京モーターショーは向き合わなければなりません。

この状況を乗り越えるために、東京モーターショーは今回、あえてクルマの展示より、ショーやイベントに力を入れています。展示だけのブースから、参加・体感型のブースへと大きくモデルチェンジを図っているんですね。

例えば、「フューチャーエキスポ」では、クルマ業界だけでなく、オールインダストリーで未来を想定した展示を行っています。

「いろいろな企業と手を携え、未来をつくっていきたい」と、自工会会長の豊田章男さんは自工会の会見で述べました。

そこには、豊田章男さんの危機感があります。

「このままではジリ貧のまま、東京モーターショーが終わっていってしまうのではないか」というのは、自工会の会見での豊田章男さんのコメントです。

体験型のショーやイベントに力を入れるのは、ジリ貧から脱するための苦肉の策といえます。

クルマ好きだけをターゲットにしていては、来客数の増加を見込めないし、従来型の新型車の展示では、ネット世代を取り込むことはできない。

従来以上に苦しい条件下にありながらも、成功への期待は大きい。果たして、東京モーターショーは、新たなかたちの提案によって、苦しい条件を乗りこえられるかどうか。

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