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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日産、厳しい再建への道のり

「必ず再生できる」――。日産CEOの内田誠氏は力を込めました。しかし、想定を超える販売の減少、中国で感染が拡大している新型コロナウイルスの生産台数や収益への影響、3社アライアンスの混迷など、再建への道のりには課題が山積しています。楽観はできません。

日産は20019年度通期の世界販売台数を505万台と、昨年11月の見通しから引き下げたことに加えて、売上高は見通しより4000億円減の10兆2000億円、営業利益は650億円減の850億円と下方修正しました。年間の業績の下方修正は、昨年11月に続いて二度目です。

「なんといっても、販売台数が想定を下回ったことです」と、13日の決算会見の席上、CEO(社長兼最高経営責任者)の内田誠氏は、業績の下方修正の理由について述べました。

日産の屋台骨は中国市場ですが、新型コロナウイルスの影響を考えれば、さらなる業績の悪化も予想されます。「2月半ばまで中国での生産ができない状況を考えると、それなりの影響は出てくる」と、内田氏は述べました。

販売台数が想定を下回った理由として、世界市場への新車投入が後手に回ったことがあげられます。というのも、カルロス・ゴーン元会長の逮捕以来、西川氏が社長辞任に追い込まれ、幹部が次々と会社を去るなど、経営は混乱続きで、新車どころではありませんでしたからね。

この3月の新型「ルークス」の発売を皮切りに、日産は次々と新車を投入していく計画です。

もっとも、それ以前の問題として、「内田新体制」は次から次へと出てくる課題を乗りこえていけるのかという疑問があります。

現在は、足元の問題への対応に精一杯で、〝内田カラー〟が前面に出てくるのはこれからにしても、どうも、日産の再建を引っ張っていくのだという力強さが感じられない。新しい日産像が出てくるのは、いつなのか。

今後の改善策について、内田氏は「5月の中期経営計画の見直しの際に説明していきたい」と答えるにとどまりましたが、果たして5月の中計の見直しでどのような答えが出てくるのか。

日産は、すでに固定費などの費用の削減に着手していますが、5月の中計の見直しでは、さらに踏み込んだ収益の改善策が出てくることが予想されます。「いままで以上のやり方をしないと収益の回復はむずかしいと考えています」と、内田氏は述べました。

日産の業績回復の足を引っ張ると思われるのが、ルノー、日産、三菱自動車の3社アライアンスです。こちらもゴーン問題後のゴタゴタが尾を引き、一部には、アライアンス解体説まで流れています。

「来期も回復には少し時間がかかる。今期を底に成長する絵を描いていたが、もう少し、時間がかかる」と、内田氏は述べました。

日産の再建のへ道はなかなか見えてきません。「内田新体制」はしょっぱなから背水の陣ですよね。

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