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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

マツダ、新型「MX‐30」をEVにしなかった理由

マツダは8日、新型コンパクトSUV「MAZDA MX‐30」のマイルドハイブリッドモデルの国内販売を開始すると発表しました。直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV‐G2.0」にマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた「e‐SKYACTIV G」を搭載しています。世界の自動車メーカーはここへきてEVの拡充を急いでいますが、マツダの環境戦略にブレはないようです。

マツダは、昨年の東京モーターショーで量産型の電気自動車(EV)「MX‐30」を公開し、すでに欧州では、この9月からEV「MX‐30」の販売が開始されていますが、日本市場へはマイルドハイブリッドモデルからの投入になります。

とことん内燃機関にこだわるマツダが欧州市場にEVを投入するのは、欧州の環境規制への対応にほかなりませんが、マツダは現時点において、すべての国でEVを走らせることが必ずしも正しい環境対応だとは考えていません。

「一気にすべての国や地域でEVを販売するということではなく、当面は地域ごとに最適な動力源を届けるマルチソリューション戦略を進めていく考えです」と、社長の丸本明氏はオンライン会見の席上、述べました。

クリーン発電地域や環境規制がある地域には、EVを展開しますが、そうでない地域については、地域や国の政策や発電構成に応じて、内燃機関や電動化技術などパワーユニットの展開を適材適所で行うマルチソリューション戦略を進めていく計画なんですね。

エネルギー自給率の低さや化石燃料への依存などの課題を抱える日本では、EVを使うことが燃料採掘から車両走行までのトータル視点でのCO2削減にはなりません。

思い切っていってしまえば、いまの時点で日本でEVを走らせても、トータルなCO2排出量はエンジン車よりも多くなってしまう可能性があるんですね。

また、価格も含めて、EVにはまだまだ多くの課題があります。

マツダは、これまで同様、内燃機関の技術を活かす方針を変えることはありません。あくまでも、内燃機関を磨き上げることによって、CO2排出量削減を目指す方針です。

マツダは、ロータリーエンジンをEVの発電機として使うマルチ電動化技術の開発を進めています。2022年前半に、スモール商品群への投入を計画しています。

スモールカンパニーのマツダならではの考え抜かれた環境戦略といっていいでしょう。

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