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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

「意志と情熱と行動」と自工会の豊田会長

日本自動車工業会会長の豊田章男氏は6月3日、オンラインで記者会見し、自工会の「次のチャレンジはカーボンニュートラル」と語ったうえで、そのゴールに向けては「自動車産業をペースメーカーにしていただきたい」と述べました。自動車産業がペースメーカーになる意味はどこにあるのか。その具体策とはどのようなものなのか。

脱炭素化の流れが加速する中で、世界の自動車メーカーは電気自動車の開発に力を入れていますが、自工会会長の豊田氏は、かねてからカーボンニュートラルにはあらゆる道、あらゆる選択肢を広げていくことが大事だと語ってきました。

最初からガソリン車やディーゼル車を排除してしまっては、選択肢を自ら狭め、日本がせっかく培ってきた技術の強みを失いかねないということですね。

では、カーボンニュートラルの選択肢を増やすには、どうすればいいか。

「じつは先日……」として、豊田氏は、この5月22日、23日に富士スピードウェイで行われた水素エンジン車による24時間レースを具体例にあげました。

水素エンジン車は、24時間レースを無事完走。カーボンニュートラル実現の選択肢として、エンジン技術にも十分に可能性があることを、豊田氏自らハンドルを握って示したんですね。

つまり、長年の蓄積があるエンジン技術に、水素という新しい燃料を組み合わせることで、CO2削減の新しい世界が見えてくるということです。

もちろん、課題は少なくありませんでした。

「グリーン水素は、福島県浪江町の水素製造施設から供給しましたが、使う側の体制が十分にできていませんでした」と、豊田氏は会見で語りました。

移動式水素ステーションが、国の補助を受けている関係で、平日、民間は使えなかったんですね。

ただし、そのことによって、課題が明確になったと豊田氏は指摘します。

「『これってどういうことでしょうか』という疑問が次の行動を起こすことにつながるわけですね」と、豊田氏は述べました。

課題が出てくれば、それを改善すればいい。自動車産業は、そうやって、カーボンニュートラルというゴールに向かって全員が進むためのペースメーカーになれる。「自動車産業をもっとあてにしてほしい」「自動車をど真ん中においてほしい」と、豊田氏は語っています。

規制と目標値だけでは末来はつくれない。豊田氏は、「意志と情熱と行動」をもって10年後、20年後の末来をつくる覚悟です。

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