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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

レクサス高輪の不正車検はなぜ起きたのか

あのトヨタにも、不正が発覚した――。2017年の日産の無資格検査の発覚を皮切りに、自動車大手で不正発覚が相次ぎました。あのとき、社長の豊田章男氏は、現場を預かる当時の副社長、河合満氏に「うちは大丈夫か」とラインを送りました。もちろん、トヨタは「大丈夫」でした。しかし、そのトヨタも、今回は「大丈夫」ではありませんでした。

トヨタ自動車は20日、100%子会社のトヨタモビリティ東京が運営する「レクサス高輪」で、不正な車検があったと発表しました。6月に行われた国の監査で、ヘッドライトの明るさやパーキングブレーキの利き具合、排ガスの成分などの5項目で、基準を満たす値に書き換えたり、必要な検査を実施しなかったなど、道路運送車両法に違反する行為が見つかったんですね。

不正車検の対象になったのは、発覚までの2年間に車検が行われた565台。不正車検を行ったのは、レクサス高輪店の5人の検査員のうちの4人です。
オンライン会見の冒頭、トヨタモビリティ東京社長の関島誠一氏、同常務執行役員の板垣俊美氏、トヨタ自動車国内販売事業本部本部長の佐藤康彦氏は、深々と頭を下げて陳謝しました。

なぜ、トヨタの直営店で、このような不正が起きたのか――。

関島氏はオンライン会見の席上、二つの要因をあげました。一つは、検査員の不足です。「増加する仕事の量に対して、エンジニアを中心とした人員や設備の増強が追いついていなかった」と、関島氏は述べました。

レクサス高輪店は、法人顧客が多く、売り上げも伸びていました。つまり、業務量の増加に対して、検査員の負担も重くなっていた。

もう一つの要因として、関島氏が指摘したのが、「決められた時間内に車検を終わらせることが最優先になっていた」ことです。

つまり、予定の時間内に仕事を終わらせなければいけないというプレッシャーが、検査員を不正に走らせたということですね。

レクサス高輪には、車検整備に〝2時間〟という制約がありました。本来であれば、車種や走行距離、車両の状態などによって、一台一台、必要な作業時間が異なるにもかかわらず、検査員は、〝2時間〟で車検整備を仕上げることを最優先してしまった。コスト管理と品質保証の優先順位が正しく理解されていなかったということですね。

今回の不正について、佐藤氏は、「メーカー側にも責任がある」と述べ、一丸となって信頼回復に取り組むと語りました。

一例は、全国販売店代表者会議における営業スタッフの表彰の内容の見直しです。これまで、トヨタ自動車は販売台数が累計2000台、3000台に達する優秀な営業スタッフに対して表彰を行ってきましたが、その表彰を内容を含めて見直す計画です。

販売台数、車検入庫の台数といったように、数字での販売会社の評価をあらためるというんですね。
「そういう引っ張り方をしてきた。これがメーカーの責任である」として、佐藤氏は次のように述べました。「慢心があったのではないかということも含めて、今回、一つの〝ほころび〟として出てきたのではないかと思っています」

今回の不正車検は、ユーザーとの信頼関係を壊すとともに、トヨタのブランド力を少なからず毀損しました。果たして信頼を取り戻すことはできるのか。その代償は、小さくないといえますね。

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