Loading...

経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタは〝全固体電池〟をHVから投入

トヨタ自動車は7日、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などに搭載する車載電池に、2030年までに1兆5000億円を投資すると発表しました。電池の供給体制を整備し、加速する電動化に対応するのが狙いです。

電動車向け車載電池といえば、注目されているのが全固体電池ですね。全固体電池は、EVの走行距離を劇的に伸ばし、充電もガソリン車並みの速さでできるなど、今後のEVにおいて圧倒的な優位性を生みだすカギといわれてきました。

トヨタの全固体電池の開発はどこまで進んでいるのか、いつEVに全固体電池を導入するのか――。これまでも2020年代前半の導入というアナウンスはありましたが、その実態は見えませんでした。

トヨタは7日にオンラインで開かれた「電池・カーボンニュートラルに関する説明会」の席上、全固体電池開発の進捗状況について明らかにしました。

2020年6月に全固体電池を搭載した車両を製作し、テストコースで走行試験を実施し、車両走行データを取得する段階にきていることや、2020年8月には、全固体電池を搭載した車両でナンバーを取得し、試験走行を行ったことなどが発表されました。

意外だったのは、開発中の全固体電池を、まずは、HVに投入すると発表したことです。

「全固体電池は、イオンが電池の中を高速で動くため、高出力化に期待できます。そこで、HVに適用して全固体電池のよさを生かしていきたいと思います」と、チーフ・テクノロジー・オフィサーの前田昌彦氏は説明会の席上、述べました。

もちろん、トヨタは全固体電池のEVへの活用を視野に入れていますが、まずはHVに使うことが技術的な近道だと考えているようです。

「全固体電池をBEV(バッテリーの電力だけでモーター駆動するEV)にもっていくには、まだ時間がかかります」と、前田氏は説明しました。

全固体電池の開発における現在の課題は、固体電解質の材料開発です。材料開発にはまだ時間が必要とされていますが、短縮化できれば、開発が早まることも期待できます。

いずれにしても、全固体電池が実現化すれば、トヨタの電動車の競争優位性は飛躍的に高まるのは確かです。まだまだブレークスルーが必要な全固体電池ですが、カーボンニュートラルの実現に向けて、電動車両をフルラインナップで準備するトヨタにとって、全固体電池に託した期待はとてつもなく大きいといっていいでしょう。

ページトップへ