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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

旅・夢風景

片山修が旅について語る。
日本各地の写真とコラムによる「旅夢風景」

伊豆高原・伊豆熱川 桜と湯と美食巡りの旅2

東京に比べれば、気温が数度高い伊豆高原は、すっかり春の装いだ。JR新宿駅から「特急スーパービュー踊り子号」に乗って、伊豆高原駅に着くと、もう、空気の質が違うといったらいいか、「南にきたな」というか、身も心も青春に戻るような軽やかさに包まれる。そう、オジサンは、若返るのだ。
 伊豆高原駅から大室山方面に向けた坂道は、およそ3キロにわたって、見事な桜並木が続く。その名も、「桜並木通り」だ。
「伊豆急行が完成したのが、昭和36年ですが、そのとき、植えられた染井吉野の桜並木で、約600本はあるでしょうかね。駅前の桜は、やや早咲きで紅色の濃いおおかん桜です」
 izuatagawa1と、説明してくれたのは、伊豆急行鉄道部運輸営業課係長の川村和生さん。
「伊豆高原桜まつり」は、三つのステージで構成される。〈ステージ1〉での見所は伊豆高原駅周辺のおおかん桜で期間は3月14日から3月19日だ。〈ステージ2〉は伊豆高原桜並木の染井吉野で、3月20日から4月3日まで。〈ステージ3〉では大室山「さくらの里」の35種の桜約3000本で、期間は4月4日から5日である。
「期間中は、駅前の駐車場、さくらの里でさまざまなイベントが行われたり、クラフト、飲食などのお店が出ます」
 と、川村さん。

伊豆高原の隠れ家風旅館で、桜尽くしの御膳を味わう

 izuatagawa3ピンクの桜並木の両側には、洒落たお店が並んでいる。輸入品雑貨の店、ペンション、陶芸教室、うるしギャラリー、イタリアンレストラン、ホテル、美術館などなど。
 花より団子のオジサンは、お洒落なお店を前にして、ギャルオジサンに変身し、どれどれ……と、見学して回りましたな。
 それから、駅から少し足を伸ばし、城ヶ崎海岸へ向かう。眼前の相模湾の青い海は、あくまで穏やかだ。大島が霞んでいる。海風が、やさしく頬をなでる。やっぱり、自然の中にいると、落ち着きますわな。ビジネスの現場、都会の雑踏、紅灯の巷……オジサンの居場所は、厳しく、打算に満ちていますからね。
 izuatagawa5次に、城ヶ崎温泉の料亭旅館『花吹雪』で、桜尽くしの昼飯としゃれ込みました。森林浴ができるほど、広い敷地の中に、3軒の料理茶屋と4つの宿泊棟が並ぶ。森の中には、7つの湯殿が点在。桜は、8種類、約50本あるとか。散策するうち、時間を忘れ、リラックスしましたわな。

小学館『週刊ポスト』 2009年3月27日号 掲載

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