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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

旅・夢風景

片山修が旅について語る。
日本各地の写真とコラムによる「旅夢風景」

浜街道 福島・浜街道で海を眺め、極上ヒラメと赤目ふぐで幻の地酒をグイとやりゃあ・・・

「請戸漁港にあがるのは、ほとんどが高級魚です。東京の築地市場でも、請戸港の魚は〝トップ引き〟といって、最初にセリが行われるんです。それぐらい高級魚なんです」
 そう自慢するのは、福島県浪江町の「柴栄水産」社長の柴孝一さんだ。
 陸前「浜街道」の観光の魅力といえば、豊富な魚介類。太平洋岸沿いに小名浜港など、約10の漁港が並んでいる。なかでも、請戸は、カレイ、ヒラメ、メバル、アイナメなど、高級魚があがるので知られているのだ。
「昔は、タタミ一畳のヒラメがあがりましたなぁ」「エッ。まさか……」「いや、今でも、座布団一枚ぐらいの大きさのヒラメがあがることは、珍しいことではありません。11キロくらいあるからね」という柴さんの言葉に、ウーンとうなってしまった。 hamakaidou21 「これから三月にかけては、白魚の季節。ドンブリに刻みネギをいれ、生きた白魚をぶっ込んで、うえからマヨネーズをたっぷりかけて、醤油をたらし、かき回して食らう。まあ、これが、うまいんだわさ」と、柴さんは破顔一笑。こちらは。もう、よだれが出そう。堪らず、柴栄水産の直営店「六角茶屋」に走り、名物の座布団大のヒラメをいただきました。

hamakaidou2-5大皿に盛られた刺身のヒラメを見た途端、まず、そのパワーあふれる表情に圧倒されましたな。輝いているのです。口に運ぶと、その身の軟らかからず、硬からず、そして甘いこと。舌が泣きましたよ。
 夜ノ森駅から徒歩3分くらいの富岡町「リフレ富岡」にいけば、常磐沖でとれる〝赤目ふぐ(彼岸フグ)〟のコースが3675円。味は、トラフグと変わらず。確実に、おすすめですな。
 魚とくれば、お酒。浪江町には、日本で最も海岸に近い蔵元「鈴木酒造店」がある。なにせ、請戸港のすぐ脇にある。「男っぽい酒です」と、若旦那の鈴木大介さん。
 そして、意外に知られていないが、温泉も点在する。陸前「浜街道」は、素朴かつ人情豊かな観光地である。

小学館『週刊ポスト』 2010年3月5日号 掲載

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