松代 城下町・松代からパワースポット戸隠古道へと北信濃を逍遥する
「時代劇の映画のロケにそのまま使えますね」
と感想を述べたところ、「映画のロケは、ここでしばしば行われます」と、案内をしてくれた「NPO法人夢空間 松代のまちと心を育てる会」の山岸園子さんはいう。「さもありなん……」である。
長野県といえば、〝教育県〟。その象徴が江戸幕末の学者、佐久間象山だろう。
その象山の故郷の長野市松代を訪れた。
松代藩の藩主といえば、武勇で知られた真田家だ。時代はそれからずっと下って、江戸末期。真田家八代藩主の幸貫は、象山らの意見をいれた藩校の創立を目指し、その後、その志を受け継いだ九代藩主の幸教が安政二年(一八五五年)に開校したのが、いまに残る『文武学校』だ。
剣術所、柔術所、弓術所、槍術所などの道場がそのまま、〝動態保存〟されている。いまも弓道大会や剣道大会が開かれているのだ。磨き抜かれた板の間、壁際の一段高いところに、師範の座が設けられている。江戸時代にタイム・スリップした印象だ。 近くには、武田信玄が上杉謙信と闘うための拠点として築かせたといわれる『松代城跡』のほか、少し足を延ばせば『川中島古戦場』があり、松代に流れた歴史を感じさせる。
次に訪れたのが、山岳信仰の霊場の戸隠だ。「天の岩戸」の神話の舞台でもある。
今日風にいえば、パワー・スポット。
「山岳信仰が盛んな白山系の行者が入ってきて、ここを道場とした、というのが歴史的事実として確かな戸隠神社の開山の経緯です」と、主任責任役員の二澤久昭さんはいう。
戸隠中社にむかう途中、井上竹細工店で名産品の竹カゴを求める。「地元の山から〝根曲がり竹(チシマザサ)〟を切り出した竹で編んだもので、使えば使うほどすべすべし、べっ甲色になります」と、井上栄一さん。
奥社参道の杉並木は、森閑として、何やら霊気が漂う。秋の気配漂う境内に立つと、心が洗われるようでしたね。