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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

LCCが日本の人手不足を救う!?

かねてから、人手不足がいわれています。
対策として、移民の受け入れがいわれていますが、反対論も多い。
この件について、少し考えてみましょう。

全国で人手不足が広がっています。
飲食店やコンビニエンスストアなどでは、
アルバイトやパートが集まらず、奪い合いが起きたり、
出店の抑制、店舗の閉鎖などが起きています。
医療や介護の現場も、相変わらず人手不足です。

建設現場では、職人が足りず、労務費高騰の結果、建設コストが上昇。
小田急電鉄が手掛けていた、川崎市の向ヶ丘遊園跡地の住宅開発計画は、
事業が採算に合わないと、白紙になりました。
ほかにも、マンションや駅前開発などがストップするケースが出ています。

ただでさえ、国内は少子高齢化が進み、生産人口が減少しています。
そこに、東日本大震災の復興需要や東京五輪の開催決定で、
労務費は、高騰の一途をたどっている。
アベノミクス効果もあって、消費が拡大し、
日本経済は、ここらでアクセルを踏み込みたいところですが、
人手不足による労務費高騰が足かせになり、ままなりません。

対策として、かねてから指摘されているのは、移民の受け入れです。
しかし、これには反対の声が多い。
反対派は、移民といえば、かつてのドイツが連想されるからですね。

ドイツは、第二次世界大戦後、移民政策を行いました。
主として、トルコからの移民を受け入れました。
移民は、経済復興に大きな役割を果たした一方で、
彼らが、本国から家族や親戚を呼び込み、住み着いたことによって、治安が乱れた。
日本でも、移民が増えれば治安が悪くなると、反対派はいいます。

しかし、半世紀以上が経過した現代の日本において、
かつてのドイツと同じことが、起こるでしょうか。
問題は、その点です。
というのは、交通手段が、格段に発達しましたからね。
例えば、今日、フィリピン、ベトナム、タイ、カンボジアなどは、
成田から往復2万円台、3万円台のチケットがゴロゴロあります。
実際、何年も帰国していなかった人が、
LCCを使って母国へ帰るという例が起きています。

例えば、東南アジアの国々なら、LCC(ロー・コスト・キャリア)を使って、
“国際的単身赴任”が十分に可能です。
さすがに、ブラジルほど遠ければ、住み着きたくなるかもしれませんが、
東南アジアなら、住み着いたり、家族を呼び寄せたりする必要はありません。
つまり、LCCは、単に観光客だけではなく、
アジアの“労働力”などの流動性に拍車をかけます。

LCCのような低コストの交通手段を使った、
“国際的単身赴任”が当たり前になれば、
移民を増やす政策を、いたずらに怖がる必要はなくなると思われます。
如何でしょうか。

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