私は、日本の総合電機メーカーは、
いつまでも“総合”にこだわっている必要はないと思います。
生き残るために、得意の部品メーカーに徹しても、
何の恥でもなく、不都合もありません。
シャープは、欧州の家電生産、販売から撤退します。
今後、欧州では、シャープブランドの液晶テレビは、
台湾の冠捷科技(TPVテクノロジー)が販売し、工場も同社に売却する方針です。
白物家電はトルコのヴェステル社に引き継ぎます。
商標権のビジネスに切り替えるといいます。
これは、当然の話だと思います。
シャープは売上高の約6割を海外が占めます。
撤退するのは、うち約8%にあたる欧州だけです。
中国をはじめ、アジアや米国でのビジネスは継続する。
しかし、欧州撤退は、総合電機メーカーから、
存在感のある部品メーカーへの道の大いなる第一歩ともいえます。
シャープの13年度の業績を見ると、稼ぎ頭は、
営業利益の30%近くを占める、デバイスビジネスの「液晶」です。
テレビやスマホといった、プロダクトビジネスのデジタル情報家電は、
売上高は20%以上を占めていますが、営業利益は約9%に過ぎない。
かつては、総合電機メーカーのシャープの代表的商品といえば、
女優の吉永小百合さんがCMに出演する、液晶テレビの「AQUOS」でした。
いまのシャープは、デジタル機器メーカーというより、
アップルのiPhoneやサムスンのギャラクシーに搭載される
パネルメーカー、つまり、部品メーカーの印象が強い。
先日発表された新技術も、車載などB2Bを視野に入れた、
新しいパネルの技術でした。
断るまでもなく、テレビ、スマホといったデジタル情報家電市場では、
近年、とてつもなく厳しい、グローバル競争が繰り広げられています。
高付加価値市場を狙えば、サムスンやLGエレクトロニクス、アップル、ソニー、
新興国の低価格モデルの市場を狙えば、新興国メーカーがウヨウヨいます。
シャープが、独自ブランドのテレビやスマホで生き残っていくのは、至難の業です。
吉永小百合さんは、もう14年も同社CMに出演していますが、
時代は、変わっているんじゃないでしょうかね。
シャープは、今後もデジタル情報家電で独自ブランドを継続するのなら、
まずは、“脱・吉永小百合”の覚悟が必要だと思いますね。
サムスンに完全にノックアウトされた以上、
日本の総合家電メーカーは、思い切って転換すべきですよ。